「金融アセスメント法」制定推進を決議−第9回理事会(1月10日)
全国同友会で「金融アセスメント法を制定しよう」という運動が広がっています。その中で1月10日に行われた第9回理事会では、「金融アセスメント法制定を積極推進する」こと、そして「その運動の核になる組織づくりを行うこと」を確認しました。この「金融アセスメント法」は愛知同友会での「貸し渋り調査」や「金融調査」などの結果や金融機関に対する中小企業家の意見・要望を整理して、まとめたものです。その内容として、(1)金融機関が持つ公共性の徹底、(2)著しく不利な金融機関との取引慣行の改善、(3)利用者参加型金融行政への転換、以上三つの柱を持っており、総合的に解決するために、金融庁が金融機関の活動を評価し、それを公表する制度をつくっていこうというものです。
●ビデオやパンフで学習しましょう
また反面で、借り手である私たち中小企業家に対しても、経営指針の作成などといった経営の健全化、「自助努力」を求めています。この「金融アセスメント法制定の推進」とあわせて、「金融検査マニュアルの一律適用の見直し」、さらには「2002年4月解禁のペイオフの撤回」を求める運動づくりの母胎となる組織づくりが行なわれています。「今こそ金融アセスメント法を制定しょう」のパンフレットや、「金融問題研究会」で作成した同名のビデオでぜひ主張を学習ください。なおビデオは各地区に一本づつお渡ししていますので、活用ください。
中小企業家発!「金融アセスメント法」とは
「積極的に制定を推進する」と決議された「金融アセスメント法」は、理事会の討議の中でも出されていますが、「『制度を創ろう』という取り組み」であり、愛知同友会がその作成にかかわった「中小企業家発」の法案です。
国民や中小企業、地域に優しい金融システム
「金融アセスメント法」は金融庁に対して、(1)円滑な資金需給、(2)利用者の利便、(3)金融機関経営の健全性という3つの観点から、必要な情報を収集し、金融機関の活動について評価することを義務づける法案です。一方、その評価と判断理由を可能な限り多く、利用者が入手しやすい形で定期的に公開することを義務づけています。具体的には以下です。
(1)金融機関が本来の役割である公共性を自覚し、地域経済と中小企業に対し円滑に資金供給できるようにする。
(2)金融機関が物的または人的担保優先主義から脱却し、透明で公平な融資基準による融資へ転換する。
(3)利用者参加型行政システムへの転換で、地域社会や中小企業にとって必要な金融機関を守り育てていく。またそのために、大蔵省あるいは金融庁に都道府県単位の金融アセスメント委員会を設置し、公平に金融機関を評価し、国民に公表しようとする法律です。
この法案をまとめた山口義行氏(立教大学助教授)のホームページ「http://www.media-kiss.com/yamaguchi/」をご覧下さい。
なぜ同友会が推進するのか?
●99同友会ビジョンとのかかわりの中で
(1)金融機関が持つ公共性の徹底化を要求する半面、借り手である中小企業に対しても、経営指針の作成などといった経営の健全化、「自助努力」を求めています。
(2)愛知同友会の「99同友会ビジョン」の旗印2の「自立型企業づくり」や活動方針「三位一体の企業づくり」が前提になります。
(3)この運動に取り組める同友会に誇りや自信を感じ、この運動を広げられるのは、同友会しかないという経営環境改善の活動です。
●「地域社会とともに」の観点から
(1)この法律案のモデルはアメリカの『地域再投資法』であり、この法律が地域経済の活性化を生み出し、銀行経営からみても、地域の新しい金融ニーズを開発することにより、収益にも大きく貢献しているという事実があります。
(2)「99同友会ビジョン」の旗印Iの「地域社会と共に歩む企業づくり」をめざすための金融面での前提づくりとなります。
(3)「コミュニティーバンク研究会」ではこの地域再投資法を勉強し、担保主義を問題にし、それを乗り越えていく可能性を探る。そのことが既存の金融機関に対抗する力となり、「金融アセスメント法」を補完するものとして共通性を持ちます。
●同友会3つの目的と(特に経営環境改善)結合して
(1)愛知景況調査(11月末調査)では、「2年ぶりに資金繰り『窮屈』が5割を超える」と報じ、金融問題が今年度の大きな経営課題になります。
(2)従来の批判的展開ではなく、「中小企業家発」の立法案として、同友会が「自らの経営環境は自分達が変えていくのだという意気込みを持った集団」になるきっかけにしていきます。
(3)中同協も法制化をめざし、中央レベルで、各団体や各政党に働きかけており、7月29日に行われる参議院選挙を当面の目標にしていく必要があります。
(4)これは単に法律の制定運動に止まらず、制定後もアメリカの『地域再投資法』のように(制定後12年を要しました)、実行を保障していくには中小企業を含む幅広い国民を巻き込んだ運動にしていく必要があります。