尾張支部例会(1月16日)自立型企業づくりの実践
地域でナンバーワンを、そして、物づくりを通じ人材を育てよう尾張支部例会
新井敏男氏(株)アライ・社長(尾張支部・副支部長)
●入会後2年は休眠、ゴルフは皆出席
私の会社は創業当時、工作機械のカバーやクレーンのボディーなどの制作をしていました。業界と共に順調に成長してきました。しかし、浮き沈みが激しい業界であるため、7〜8年ぐらい前から同じ設備でやれる建築金物を手がけるようになり、現在では、製造のみならず、設計から施工まで一貫して自社で行えるようになりました。また最近、社員の提案で自社製品の開発に乗り出しました。今では自社製品のポストや椅子、テーブルなどホームページでも販売できるようになり、3月からは「楽天」のショッピングモールに出店する予定です。10年ほど前に業界のゴルフ会で同業者の方から、「新井さん、酒が飲めるし、ゴルフもできる会があるから一度来てみませんか」と誘われ、同友会の例会に参加したことがありました。しかし、みんながあまりに真面目に勉強をしていて、カルチャーショックを受け、そのまま帰ってしまいました。それから2年後、ちがう会員の方からお誘いを頂き、今回は入会しました。それでも初めの2年間は例会に出ず、金曜会(ゴルフ会)だけは皆出席でした。
●危機感を抱き、経営指針をつくる
そんな私がある時、全員参加型の同友会の運営方法に共感し、真面目に会合に出ているうち、ある役員の方の会社で経営指針書を見せられ、愕然としました当時、景気が少し陰って来たころでもあり、当社は赤字を3期連続して出しており、「経営指針をつくらないと、自分の会社がなくなってしまうのでは」という危機感に襲われていました。同友会の「経営指針作成セミナー」や中小企業大学校で学びましたが、自社の実態と大きくギャップがありました。せっかく自分が理解したのに、社員には全然伝わらない状態が続きました。(1)地域でナンバーワンを目指そう、(2)物つくりを通じ人材を育てようという経営理念の部分だけは、社長である私がつくりましたが、幹部社員を同友会に入れて、社員と共に経営指針をつくっていく決意をしました。幹部社員に集ってもらい、「どんな会社にしたいのか」を話しあい、方向を決めました。そこに集ったグループリーダからそれぞれの部下に落とし込み、会社と1人1人の社員のベクトルあわせが行われていきました。また逆に社員の方からも声が出され、経営指針に生かされることとなります。毎週月曜日の始業前の幹部ミーティングで進捗状況が話しあわれるのですが、これが大変重要な意味を持っています。
●ISOの根本は経営指針と同じ
社員と共に経営指針を進めていく上での副産物として、99年のISO9000の取得があります。これは社員が出した「3年後の目標」の中に入っており、これが取得のきっかけなりました。これの根本は経営指針とまったく一緒です。品質を管理するシステムづくりで、半年に1回は外部から審査にきます。しかし、経営指針がきちんしていれば、それで大方の信用は得られるのです。目標ができると役割が決まり、担当者ができているかどうかをチェックします。それを続けていけるエネルギーを社員に与え続けていくのが社長の仕事なのです。経営指針、ISO、5S活動はまったくリンクしているものだと思いますし、手づくりの社内報を発行し、このことを社員にも浸透させています。
●地域との関わりが社員教育に繋がる
企業の地域貢献が求められる時代ですが、当社も地元の中学や養護施設等の方を体験学習で受け入れています。製造業の会社ですので、日頃なかなか触れることのない物を作るプロセスを味わえると、なかなかこの体験学習は学生に好評です。同友会で取組んでいる大学などからのインターンシップも受け入れています。トライデントスクールの学生にテーブルのデザインをしてもらい、私共が賞金を出してコンテストを行い、それを商品化したこともあり、学校側からは大変喜ばれました。社員もそうした人たちの喜ぶ姿を目の当たりにし、成長しています。地域とのかかわりが、そのまま社員教育になっているのです。
●自立型企業の前提は自立した社長と社員
同友会でよく言われている三位一体ですが、経営指針が社長と社員の信頼関係の「拠り所」となっていると思います。若い人達が入ってくる企業体質にしておくことは、とても大切です。同友会の共同求人はとてもよいシステムだと思い、当社でも活用していますし、本日オブザーバーで参加をしている幹部の内2名は共同求人で採用した社員です。教育では経営者として自立した考えを持つ事が大切ですし、社員も会社に寄りかかるのではなく、自立することが必要です。その2つが絡みあって始めて、自立した企業ができるのだと思います。
【文責事務局・野副】
尾張支部役員研修会(2月3・4日)
●真冬の南知多に支部役員が集う
2月3日〜4日、南知多の「チッタ・ナポリ」で役員研修会が行われ、支部役員27名が参加し、同友会理念や「会ビジョン」の根底を流れる考え方を学びました。報告にあたった津田副代表理事は、「自主・民主・連帯」の同友会精神に基き、日常の組織運営を行う大切さ、また地域を巻き込みながら中小企業の利益は自分達が守っていかなければならない必要性について触れ、「まず役員が学ぶこと」の大切さを強調しました。
●役員をやることが自らの学びになる
グループ討論の中では、「同友会の活動を自社に生かすとは」「役員という役割をやっている以上は、相談された時にアドバイスできるようになりたい」「風通しのよい支部、地区をつくっていきたい」などの意見が出され、「役員をやることが自らの学びになる」ことが参加者の共通認識になりました。最後に福谷副代表理事は、「同友会に入った仲間同士、人間的に触れあって、会社を大きくしていきましょう」と締めくくりました。
●グループ討論より
・経営指針作りを作り、それに取組み又、社長のみでなく社員とそれを作った事が大きい。
・自立型企業は自社が自覚する事が自立型になるのではないか、100社あれば100通りの考えが有り、それぞれが自立型の企業ではないだろうか?経営指針については、なかなか作りえるものではないが。
・これからは、人をどう作っていくかという所が重要、新井さんの話しを聞き、もっと従業員にまかせ育てて行きたい。
・指針は作るだけでなく行動した事に評価して喜びを社員に与える事が必要となる。
・人に伝える事は難しい。今日の報告を聞いて感じる事があった。インパクトを受けたという会員があり、その会員の今後が楽しみ。
・夢を社員に毎日語るという社長より、かつ、社長の夢の中に社員の夢と共通部分があるという事に驚くと共に、すばらしい感銘を受けた。
・夢と理想を共有して行くことは大事であるが、おしつけではなく本当の意味での「共有」というものが大切である。
・中小企業であっても、独自性を持って大企業と同じレベルにせっし誇りを持つ。
・従来は系列で販売していたが、現在はそれが崩れつつある。自立型の部品会社だけが組織として残っている。ものとシステムを販売して行かなくては行けない、自立型のポイントは、誇りを持てる仕事である、ISO取得につながっている。
・経営指針をアップダウン方式で伝えたが、末端まで伝わったか分からない、従業員の本音を聞き、経営指針に取り入れる事によりやる気があがる(どれだけ自分(社員)の意見を取りいれられているか)トップダウンとアップダウンが双方向でなければならない。
・法人ではないから経営指針は必要ないと思ったが、やはり重要と考え、やってみたところ理念が無いと日々の仕事がぼけてしまい、あれば一つの芯ができて進むべき道が見えてきた。
●実行委員の反省会より
・144名の参加を得て会場のスペースを心配したがバランスがよく今後少し高くなっても会場はゆったりとした場所をセットすべき、
・会議の欠席者に対する配慮がたりない気がしました。事務局にたよりすぎだという気がします。
・準備期間の充分な時間と充分な回数をかさね、グループ長のリハーサルグループ長の心得を勉強する機会をもらえて自分の成長につながったと思う
・報告者の報告時間がもう少し取れたらもう少し、自主型企業のほりさげた内容がきけたかも?
・反省会も含め、7回の実行委員会を開催して準備もしっかり出来てよかったと思う。二ヶ月ほど前に各地区より実行委員に加わって頂いて、地区への呼びかけもできて参加人数が増えてよかった
・司会者の水谷さん初め段取りが良くできてよかったと思う。少し講演の時間が短かったように思います。マイクの通りがよければ後ろの方が聞きにくかったと思います。