どうゆうき


▼全国広報交流会(9月28・29日、福島県会津若松で開催)の2日目の記念講演、大石邦子さんの「生きること、愛すること」は特に印象的でした
▼大石さんは地元、会津若松の方です。21歳のある朝を境に運命が一変します。急ブレーキがかけられた通勤バスの中で転倒、気がついたら病院のベットの中、下半身の麻痺した身体は寝がえりをうつこともできず、若い身空で下の世話も管で採ってもらわなければなりませんでした。彼女の絶望的な苦しみが察しられます。本人だけではありません
▼家族もまた然りです。昼夜の看病や経済的負担、いつか妹は学校を辞め、田は売られていきます。いっそのこと…。痛くて眠れないと言っては睡眠薬をもらい、それを貯めて、ついに自殺を図ります。しかし失敗に終わります
▼その時、厄介もののはずの自分に対する母や友人の愛の深さを知り、境遇にめげず生き抜く決心をします。その後もしばしば絶望感に襲われることはあっても、折ごとに周りの人達の愛に支えられ今日があると話されます
▼人はみなつながっています。与えられた命は決して自分だけのものではありません。今の世の中を悪くしている最大の原因は戦争でもテロでもありません。それ以上に、人と人とのつながりが希薄になり、無関心さが世の中を悪くしています
▼大石さんは車椅子の身ですから行動範囲は極めて限られていますが、いつも「生きること」を真剣に見つめています。そこからにじみ出る言葉は、したたかなはずの私たち経営者をして、すすり泣きをせずにはいられませんでした。

広報委員長 竹内武司