「金融アセスメント法」署名活動の真の楽しみ

長瀬生忠(株)松屋栄食品本舗・社長(尾北地区)
10日間で2000名以上の署名を集めた尾北地区の長瀬生忠氏に寄稿していただきました。
我々は経営者である
あえて苦言を呈したい。10月27日行われた街頭署名のことである。街頭を通りかかる何の予備知識もない人に「金融アセスメント法」を説明し、その場で理解・賛同させることは可能なのだろうかと思うからである。また実際に「やってみて、よい体験ができて良かった」という声も聞いたが、『生の声を聞けたこと』が良かったのであって、本来の目的は『署名を集めること』であり、抽象的・精神的かつ個人的な満足度を得ることではないと思うからだ。我々は中小企業の経営者であり、何事にも経営を結びつけ、合理的・効率的な方法を選択していくのがあるべき姿だと思う。いや無意識のうちにやってのけなければならないのかもしれない。決して『よい体験』を否定するつもりはないし、『私』自身もそういったものの大切さは心得ているつもりだ。
知人や友人、取引先を訪問して
さて、私は同じ一日を費やすならばと、友人・知人のところへ署名用紙を持ってまわった。久しぶりに訪ねた友人との懐かしい思い出話、お互いに同じような境遇に共感を覚え、いっそう親睦が深まった。取引先にも直接訪問してお願いしたが、思わぬ関連情報を得ることができたし、日頃の信頼関係がどれほどのものかも知ることもできた。重要なのはその際、何時までに何名と目標を決めることだと思う。依頼時に『何日までにお願いします』とはっきり伝えておかないと、絶対に集まらない。
素直な気持は万人に伝わる
当然、従業員にもお願いした。朝礼時にパートさんを含め約120名全員に署名用紙を配付し、期限・人数の目標を掲げて、以下のように説明した。「今、大銀行に私たちの税金が使われています。しかし、中小企業にはお金が回ってきません。みんなのお父ちゃんも中小企業で働いているし、潰れたら困ると思います。中小企業が潰れないように資金が円滑に、地域に円滑にお金が回るようにというのが、この金融アセスメント法なんです」正直、社内では期待していなかったが、自分の拙い説明でも理解してもらえたのか、一人で数10名の署名を集めてくれた従業員もいた。従業員との信頼関係の深さを計り知りえて、うれしかったし、飾らずに素直な気持を打ち明ければ、万人に伝わるものだと確信した。結果、わずか10日間で2000名余りを署名を集めることができた。
『難しい事』を解決する喜び
日頃『難しい事』を解決するのが経営者の仕事であることは充分承知のことと思う。その難しい事を解決できた時、苦しみは一気にかすみ、経営者であることの喜びにかわる。大変なこと(署名集め)を困難なことだからとあれこれやらない理由づけを考えるより、まずは、やってみることだ。同友会会員なら一人が100人の署名を集める事など、たやすいことだと思う。ポイントは目標値を上限100名とするか、200名にするか、この違いだけだ。売上目標はできるだけ高く持たなければ、達成の確立は低くなることを皆さん、よくご存知のはずだから。