共同求人委員会12月18日
大学・短大・専門学校との就職懇談会を開催〜各校より55名が参加
毎年恒例となっている大学・短大・専門学校の就職担当者との就職懇談会がおこなわれ、昨今の情勢からか企業より学校側のほうが多い懇談会となり、熱心に意見交換がおこなわれました。今回は、同友会の会員企業でのインターンシップを経験、その後就職が決まった学生3人によるパネルデスカッション「インターンシップは就職活動に役立ったか」を基調にして、学校側・企業側含めて十人程度のグループに分かれ論議を深めました。厳しい経営環境を反映してか学生の就職内定率は低く50〜80%とのことです。インターンシップについては、学生が実社会を知り、就職活動に有効であるという点では同じですが、対応についてはそれぞれの学校で差があるようです。インターネットによる就職活動で、終った気になり動かない学生の問題については、実際に足で歩き、目で見て、話を聞くことが重要と指導はしているとのことですが、あまり徹底されていないようでした。就職をすることをきらう学生が増えているという問題については、結局は親がそれを許してしまっていると語る就職担当者の方もおり、本音での交流が行われていました。
共同求人委員会主催人材セミナー12月7日
士気の高まる企業づくり〜同友会で学んだ共育ち〜
井上弘氏((株)エアコンサービス・社長、東京同友会・代表理事)
会社概要
●設立1966年●資本金4000万円●社員数63名●年商15億円●事業内容空調換気設備・電気設備・給排水設備の設計・企画提案、保全メンテナンス全般
喫茶店からのスタート
私は1932年に大阪で生まれて27歳で上京、東京生まれの妻と結婚しました。そして1961年に浅草の下町に喫茶店を開店しました。ちょうどその頃はエアコンが出始めで「冷房中」と札を貼ると客が入るということで、無理をして大型のエアコンを買いました。機械はメーカー品なので大丈夫ですが、工事がひどい手抜きで、取り付けて10日もしないうちに、お客様の前でガタガタといって止まってしまったのです。営業中に配管から水が噴き出し、何度も水びたしになりました。お客さんも何事かとびっくりです。そんなことが毎度おこり、「マスター、今日のエアコンはご機嫌よく動くかな?」と言われてしまう始末。しかも「途中でエアコンが動かなくなったらコーヒー代半分まける?」とからかわれる。そうしていると、本当にエアコンが調子悪くなるのです。
エアコン屋に転進
修理を呼んでもなかなか来てくれない。やっと来てくれても「やってやる」という態度で、しかも修理代を1万円もとるのです。当時コーヒー1杯60円の時代ですから、大変な思いをしました。そこで、作業を手伝ったり、修理代以外に心付けを渡したりしていました。するとお手伝いをするうちに、見よう見真似で自分でも修理ができるようになりました。修理できるようになってから、それが地元商店街で評判になり。あちこちでお呼びがかかるようになり、それが商売になってしまったのです。この間お客様の喜ぶことをやっていただけなのですが、エアコンサービスの経営計画は「お客様の満足が私どもの喜び」となりました。これは20年かかり、試行錯誤の繰り返しでした。
「売って売って、売りまくれ!」
20年前、私は同友会と出会いました。そこにどんな出会いがあったかと言うと、人の問題です。夏は修理の人仕事が飛ぶように入ってくるのですが、当然ながら冬は全然売り上げがあがりません。そこでエアコンの販売にも力を入れ、営業職も採用していました。当時の営業のやり方は凄かったです。「売って売って売りまくる〜!」という雰囲気でした。朝8時に全員集合し、必勝というハチマキをしめて、「売るぞ〜!売るぞ〜!」と朝礼を1時間半かけて行っていました。最後には皆で肩を組んで「エアコン仲間〜♪」と歌うのです。その頃は一緒に歌を歌うことによって、皆で頑張ろうと言う気持ちがもてると思っていたのです。朝礼をして汗びっしょりになって、セールス部隊は「凛々しい姿」で外回りに出かけます。
喫茶店でサボる営業マン
きっと彼等は、お客さんのところへ駆けつけるのだろうと思いきや、実は喫茶店のモーニングセットを食べに行っていたのです。会社では売上が欲しいため営業マンに「早く売って来い。早く行きなさい」と追い立てられ、会社に居づらい。それで喫茶店でしか、販売の作戦をたてる場所がないこと。朝早い集金だから朝食をする時間もなく、お腹ペコペコ。それなのに、出勤早々ハチマキしめて「エイエイオー!」と応援団みたいな大声を出し、会社から追いたてられる。喫茶店でホッとして自分を取り戻すことができる。私はその実状を、それらの社員が辞めてから初めて知りました。
社員の半分が退職
1980年、エアコンセンターというショールームを華々しくオープンしました。しかし、その年の夏は冷夏でビールが3割減産になるほど、エアコンも売れず業界は大変な時期でした。この時、創業して20年間で初めて売上がガクッと落ちた年でした。それまでの「売って、売って、売りまくるぞ」と威勢の良かった私もこの時は顔色が真っ青でした。それを見て36人いた社員の内18人が辞めてしまいました。それもトップセールスマンばかりだったのです。それ後、ハローワークに日参し初めて高校新卒者採用をしたのですが、残業手当を幾らもらっても、使う時間がないと退職していきまいした。社員についてどうしたらよいのかと悩んでいる時に、同友会で行っている共同求人を見つけ、自分から入会したのです。
仲間が共に喜んでくれた
入会して間もなく合同企業説明会に参加しました。この説明会で早速、工業大学の機械学部の学生に内定を出すことができました。理工系の学生を採用できたのは、もう驚きの一言につきました。内定を出した時に委員会の皆に報告しなくてはなりません。気恥ずかしさや、また中小企業の経営者は皆ライバルとしてしか見ていなかったこともあって、少し臆していたのですが、内定をだせた旨を報告したところ、仲間の皆が拍手で喜んでくれました。こんな会は初めてでした。異業種の会の良さ、仲間の心の広さに感動しました。それに、いい先輩がいて本当に救われました。お世話になった会に何かしなくてはならないと思い、共同求人以外の活動、例会などにも積極的に参加しました。そして、一生懸命勉強したのです。
明文化してこそ意味がある
同友会の仲間にもいろいろ学びました。全国研究集会に参加した時に、全員参加の経営計画書作成について学びました。それは全員が自分で書く、手書きの、そして手作りの経営計画所でした。テーマは「去年は何をしたか」「今年は何ができるか」「何を目標にするか」という自分の決意表明みたいなものです。私は早速それを自社に取り入れ作成しました。そこで学んだことは、全員参加するためには、やはり会社内の情報を開示しなくてはならないということでした。社長の頭の中に入っているだけでは駄目だと言うのです。計画は文書化して、全社員が知ってなくてはならない事を学びました。
『ほめカード』実施
人間は他人のアラばかり気になってしまうものです。また、これはお客さんに対してもアラが気になってしまって、しょうがないようです。悪い部分がついつい見えるのです。そんな中で、「黙ってほっとくとアラが見えてしょうがないから、アラを見るのではなく、良いところを見よう!ウォッチングしよう!」と、同友会の研究集会で学んだ褒めカードの活用を私たちは決めました。人を褒めて、評価することは相対的に自分が謙虚になることのようです。だから私たちは「もっとお互いを褒めあおう」ということで、『ほめカード』の実施をしています。『褒めカード』とは褒めたい人と、その素晴らしい内容・点を記入して、褒めた本人と総務に提出しています。1ヶ月に一度集計して結果を掲示板に張りだしています。日本人は特に褒めるのが一番下手のようです。「元気がいい」「朝から素晴らしい笑顔をしていた」「君の動きが素晴らしい」「頼り甲斐がある」など、私は『褒めカード』10枚くらいパッパッと書けるようになりました。皆さんも貰ってみてください。社員から「社長素晴らしい」と言われれば勇気百倍になるはずです。褒めることは人を動かす原動力になるのです。褒めて褒めてお互いに成長しあいましょう。
【文責事務局・山田】