欧州中小企業政策視察に参加して
EUでの一週間2つの王国の民主主義
小瀬木昭三(株)富士ツーリスト
訪問した国はオランダ・ベルギーの両王国、ブリュッセルのEU本部などでした。私はこの二つの王国で生活している国民に定着している民主主義について、見聞きしたことを紹介したいと思います。
「ひろば」と同業組合事務所
オランダ、ベルギーのどの街でも中心には「ひろば」があります。そこには古い煉瓦造りの市役所や教会があります。有名なブリュッセルの「グランプス」ひろばの周囲には飲食店が沢山あり、その2、3階には同業組合や職人組合の事務所が、今でも残っています。スペインの侵略と戦った業者の代表の記念碑が建っていたりして、この街を他国の侵略から守り、発展させてきたのは、「われわれ中小企業なのだ」と誇り高く訴えているようでした。「ひろば」は一旦有事には地域の住民が集まって協議し、意志を統一し、行動を起こす場所でもあったのでしょう。
ナンバー4を基準に〜EUスタンダード〜
ブリュッセルのEU本部ではEU企業憲章が加盟各国でどのように推進されているのか知りたいと、耳を傾けていました。企業局の担当の女性職員は、「憲章の課題について各国から報告を求めています。それをデータにして進歩状況に順位をつけますが、トップではなく、ナンバー4を基準にして各国に努力を求めます」とのことでした。何でもトップでなければ気に入らないアメリカスタンダードとは違って、第四位をモデルにして、共にがんばりましょうと言うEUスタンダードに、内心ホッとするものがありました。何千年もの間、争い、戦い、侵略し、侵略された国々が、一つの連合国家になろうというのだから、そんなに簡単にできるものではない、時間をかけて話しあい、コミュニケーションをとって一歩一歩前進して行こうということでしょうか。出かける前、EU本部のあるブリュッセルのほかの訪問先にドイツかフランスを入れたかったのですが、同行の三井逸友氏(横浜国立大学教授)が「オランダ・ベルギーが面白いよ」と諭された意味がわかった気がしました。