どうゆうき


▼21世紀は中小企業の時代だと言われ2年が過ぎた。大企業であるトヨタの史上空前の利益、大手銀行の生き残りをかけたなりふり構わない合併劇が演じられている。しかし、我々中小企業が合併や統合をしても、シナジー効果(共鳴・相乗効果)は得られないのが実態だ
▼阪神淡路大震災から八年。今、神戸市永田区ではケミカルシューズ製造会社が当時の3分の1まで減った。この中で下請から脱却し、東京のデパートに出店した成功例や、異業種8社が集まり、震災体験から太陽光の懐中電灯の開発に成功し、製品化までに至ったケースも生まれている。壊滅的打撃を受けても生き残る中小企業の逞しさを、あらためて知らされた
▼東大阪の中小企業家が、「夢は宇宙」と人工衛星を飛ばそうと集まった。中心になったのはボーイング社関連の仕事をしており宇宙産業の下請会社の社長だ。2年後の打ち上げに向け、夢を膨らます。どこかの国の核開発と違って、1辺50センチ・重さ50キロの小さな夢の塊が空に浮かぶ様を想像すると楽しくなってしまう。なんと夢のある計画だろうか。名前も大阪らしく「まいど1号」だ
▼こんな中小企業もあるんだと元気づけられる。企業家は夢がなければ経営はできない。が、夢ばかりでも成り立たない。夢と勇気と努力で困難を切り開こうと言っても、今は説得力はイマイチだが、成功者には必ずこれがある。周りを見渡し、自社の存在価値を確認し、努力しよう。駄目だったら、そこから仕切りなおせば良い。「変わり身の速さ」と「即断即決」は中小企業の強みだから。

報道部長 舟越信三