どうゆうき

▼景況が日増しに寒く感じられる今日この頃。不良債権の処理なくしては景気回復がないことは事実であろう。しかし着実に処理されているのは大企業や大手金融機関ばかりである。それでも債務を返済するのに12年は必要らしい。一方、中小企業は平均29年必要だそうだ。なんと200兆円の不良債権があるからだ。大手の整理を待って、中小企業を始めたのでは時間的に持たない。バブル時代の不良債権さえなければ、本業だけでやっていける企業は多い。やり方を根本的に変える必要がある
▼同友会の会合で8年前に会社を倒産させたH氏の話を聞いた。「全社員一丸経営」をめざしたが、バブル崩壊後、多額の債務超過となり、今で言う「貸し剥がし」にあった。「バブルの借金を埋めるために社員を働かせるわけにはいかない」と決断。氏も「良い会社」「良い経営者」をめざし、学び実践した経営者の一人である。しかし、激変する経営環境がそれを許さなかった
▼倒産は経営者にとって最後の決断だが、その前に経営者が集まって「良い経営環境づくり」を積極的に展開する時代である。愛知同友会でも地についた政策提言が今まで以上に求められている。「金融アセス」「倒産しても再出発しやすい法整備」「失業した従業員の再教育や再就職の斡旋制度」「担保主義に拠らない金融制度」など、政策はいろいろある
▼しかし、中小企業が持つバブルの不良債権200兆円の処理を赤字国債を活用して帳消しにするという大胆な方策はないものか。8割の国民の職場である中小企業が死滅してからでは遅い。今は時間が勝負だ。

広報副部長 加藤昌之