広報部1月29日
自立型企業づくりと女性経営者
失敗は許されるが、甘えは許されない!
高橋尚子氏(株)愛豊精機製作所代表取締役・会長(女性部・部会長)
高橋さんは同友会に入会されて15年。その間、女性部部会長を10年務められ、今年度でバトンタッチされることになりました。経営者として同友会会員として、特に女性部部会長として懸命に歩んでこられた奮闘ぶりを報告していただきました。淡々と話されるが故に、かえってその裏のご苦労が思い測れるような気がしました。現在、自分がここに居られるのは、同友会で勉強させていただいたお陰だと明言されています。様々な体験をクリアしてこられた自信が、私たちにそう感じさせるのかもしれません。
突然、社長になって
金型職人の主人が独立して経営者夫人となりましたが、6年後に主人が急逝、家庭の主婦から突然社長に就任しました。それまで経営にはほとんどタッチしていなかったため、「お願いだから、これやって」のお願い経営しかできませんでした。その頃、バブル崩壊時で会社の業績も最悪の状況で、もろもろのしわ寄せを当然、身内で背負うこととなりました。そんな時、頼みであった息子には造反され、6カ月後には会社から出て行きました。見放された気がして、身の切られる思いでした。そのようなことを重ねながらも、業績を回復することができました。しかし、やればやるほど昼も夜もない、家族の犠牲、仕事とは、経営者とは、自分はこれでよいのかというような疑念が私の中で広がっていました。
女性部の人達の前向きな姿に感動
1989年、同友会と出会い、女性部会にも入会しました。部会では辻陽子さんに真剣に話を聞いてもらい、忘れていた人の暖かさや優しさを思い出したり、女性部の人々の前向きに生きる姿に感動し、強い影響を受けました。問題や悩みをいつも抱えて、それを解決することが経営者の仕事であること、何があっても逃げてはいけないこと、失敗は許されるが甘えは許されないことなどを学ばせていただきました。特に94年から女性部の部会長(理事)となり、同友会組織の中枢での活動は大きな学びがありました。この10年間が私を大きく変えました。1996年、創立15周年を期に社長業を専務に託し、会長になる決断をしました。これができたのも同友会の学びの大きな成果であり、自分で決断できる自立した人間に少しはなってこれたかな、という気がしています。また、私の心が開かれたことから息子との関係も修復され、会社に復帰してくれることになりました。
失敗と恥の繰り返しそこから大きな学びが
女性部会で役員になってからの違いはたいへん大きく、役員になりきることと、良い経営者になることは同じと言っても過言ではありません。手作りの会であることを理解し、すすんで企画に参加して、失敗と恥の繰り返しから大きな学びが得られ、これが自信に繋がりました。2000年には息子が社長に就任。所信表明で当社の経営指針「愛豊21世紀へのアプローチ」を発表、ちゃんとした会社を目指して新しい挑戦が始まりました。経営理念、社是をはじめ、これからのわが社の経営方針が網羅されています。私は経営計画まで策定できませんでしたが、息子は理念や方針は私のつくったものを受け継いでくれています。今、私は会社の風土づくりと安全委員会を担当しています。そして同友会に理解を示すもののまだ入会しない息子を入会させることも、私の仕事かなと密かに思っています。
女性経営者と経営者夫人が共に
愛知では女性経営者と経営者夫人が共に学んでいます。女性部会での学びや特徴は以下のように要約できます。(1)経営理念と人生理念を共有し、同友会理念の本質を学ぶ(2)体現者から学び、自ら体現し、報告し、成長する(3)自分を鍛えて自立する(人間として、女として)(4)女性の感性はこれからの経営に不可欠。男性に提言できる存在になる以上ですが、女性会員、会員夫人が各々の人生と経営経験を尊重しながら、経営上の悩みや課題を気軽に出し合い謙虚に学び合う事によって、人間的に高め合う事を目的とし活動しています。現在、59名の方が活躍していますが、広報部の皆さんの奥様にもぜひご参加いただければ幸いです。
●参加感想より
夫人を当てにしている中小企業が多い中で、社長と共に、また社長以上に夫人が学ぶことは必要なことです。これから女性にもっともっとパワーを発揮してもらうことは、非常に重要なことです。男性も女性も同じ人間です。私の周りでも社長以上に頑張っておられる経営者夫人の方をお見受けします。幣社でも男性社員より女性社員がしっかりしている傾向が見られます。女性も男性もそれぞれの特性を生かして、勉強し共生していくことが肝要であると思いました。
【記広報部・竹内武司】
女性部規約
(目的)愛知同友会の女性の組織として、部会員の能力の向上と会員相互の親睦をはかる事を目的とします。(入会資格)愛知中小企業家同友会の女性会員と会員夫人の方です。(会費)年間3000円の登録料となります。(活動)毎月1回例会を開催し、定時総会は年1回です。