どうゆうき

▼アメリカは何のためにイラクに侵攻し、占領したのか。大量破壊兵器を破棄する、テロを断つ、フセインの恐怖の独裁から国民を解放して民主化する、ブッシュ大統領はこう語ってきた。現実には大量破壊兵器はなく、国際テロは広がった。反占領勢力との衝突とおびただしい流血によって、解放と民主化という最後の大義は風前のともしびである
▼6月末には主権をイラク人暫定政府に移譲、来年1月には国会選挙を実施し、政権を移行するとのシナリオが描かれていたが、これを担う勢力は育っていない。「アメリカはひっこめ、国連にまかせろ」「主権をイラク人に」「国連に施政権を」などと言われるが、国連も今イラクにとびこめる状況ではなく、米軍にとってかわって新たに軍隊を出そうという奇特な国もない
▼戦争は腐敗する。まして大義のない戦争は絶対的に墜落する。米軍がバグダッドの刑務所でイラク民間人に行った拷問と虐待は、大義なき戦争が招いた墜落の極致である。イラク戦略を担当したヒューズ大佐は、「すべての戦闘で勝っても、戦争では負けている。米軍は何のためにイラクにいるのかわかっていない」と語っている。もはや「出口戦略」をつくる時期だが、あたふたと自衛隊をイラクに派遣した小泉政権にはどんな「出口」が描かれているのだろうか
▼「平和な社会でこそ中小企業は繁栄を続けることができる」。この言葉を私達中小企業家は心にきざみつけておくべきだ。そして日本国憲法の平和理念にのっとり国際社会の平和の為にこそ、日本は努力するべきなのだ。

愛知同友会顧問 江崎信雄