第2回新会員オリエンテーション7月28日
社員に任せ、自らが成長
大島良和氏協栄産業(株)社長(尾張支部副支部長)
今年度第2回の新会員オリエンテーションが7月28日に開催され、尾張支部の大島副支部長が「同友会で学んで、わが社はどう変わったか」を、片岡幹事長が「同友会活用法」についての報告を行いました。なお当日は新会員31名を含む51名が出席しました。
「楽」より「苦」を選択
当社は自動車部品のプレス加工業です。1961年に父が創業し、私は3Kの仕事を見て育ちました。親への反発もあり、大学では建築を専攻し、卒業後の3年間は建築会社に勤めました。私は人の上に立つとか、リーダーシップをとるとかが苦手な性格です。学生時代も「副」の役割で、「トップの人のお手伝いをする」という役まわりが得意でした。しかし、なぜ今の会社を継いだか。父の放漫経営で、会社が上手く行かなくなったからです。父親の怪我もあって、「サラリーマンをやるか、会社を立て直すか」という岐路に立たされました。覚悟を決めて、今の会社を継ぐこととなりました。引き継いだ当初には、父が残した高利の借金がありました。ただ仕事もありましたから、前向きに対応していく中で信用もつき、窮地を乗り切ることができました。
「作業者」だった私
今から10年前、社員が20人の時に同友会に入会しましたが、社員が増えても、組織ができていませんでした。クレームや急ぎの納期などへの対応は、すべて私自身がやっていました。つまり「作業者」だったのです。同友会の会合は夜6時半からでしたが、その時刻になると、急ぎの納期の商品への対応があったりします。作業者として四六時中動き回っている人間は、夜の会合には出席できないのです。また、私が1日中外出すると、何もできない社員がいました。これは彼の責任ではなく、経営者として私の責任でもあったのです。
「頼むよ」の一言が
月1回ですが例会に出席していく中で、自分が確実に変わってきたと思います。地区の役員になり、月の会合が2〜3回になりました。そんな時、社員に任せて同友会の会合に出るわけです。すると、社員はものすごく変わります。社長が社員に「頼むよ」と言います。社員からすると責任を与えられ、期待もされる訳ですから、ものすごくいい仕事をするようになりました。「頼むよ」「任しときゃぁ、社長」という関係ができてくるのです。今では多い月で10回以上同友会の会合があります。「社長がいない方が、社員は責任を持っていい仕事をしている」ということが、よく分かってきました。1から10まで社員の尻拭をやっていた自分が、同友会に入って目覚めました。経営の勉強だけなら本だけでもできますが、実践的に「経営とはなにか」ということに気づかせてもらったのが、同友会なのです。
社員や家族の幸せも
自動車業界の話ですが、ご存知のように「カンバン」方式です。すべて「待ったなし」の業界です。品質も厳しく、100万本に1本でも不良があると、全数選別検査をやらないといけなくなり、大きな損失が生れます。さらに困るのはコストの問題です。毎年のコストダウンに対応しないと仕事がとれないという世界です。品質・納期・コスト、いずれも本当に厳しいのです。そんな業界にいて、入会前の私は、ただロボットのように仕事をこなしていたのです。それまでとは違った視点で、「どんな経営をしていくか」ということを気づかせてくれたのも、同友会だったのです。1997年、当社は「5年以内に500坪の土地に300坪の工場を建てる」という計画を立てました。このプランには自分の理想だけでなく、社員や家族の幸せを考えた内容を盛り込みました。それを書いて会社の壁に貼って、手帳にも貼って5年間持ち続け、ついに5年後の2002年12月に新社屋が落成しました。明確な目標を持って一生懸命努力する、目に見える形では新社屋の完成ですが、相乗効果と言うか、赤字であった当社でも経常利益を確保できるようになりました。「人は思った通りの人間になれる」と言われますが、自分の人生は自分自身がつくるものです。そのために同友会の活動があり、「1つの物差」として会を活用され、皆さん自身の豊な人生を築いていただきたいと思います。
【文責事務局・井上一馬】
「同友会活用11カ条」片岡恵一尾張支部幹事長
(1)「同友会」は「どうゆう会」なのか・どんな会にも目的がある・3つの目的
(2)「自主・民主・連帯」の精神・あらゆる組織に生かすべき普遍性
(3)「学び方を学ぶ」・同じ話を聞いても、視点の違い、深さの違い
(4)先輩たちが築いた財産・経営指針作成運動・労使見解・共育=共育ち
(5)進んで役員になろう・役を受けることで享受するものは多い・傍観者から主体者へ
(6)企業経営と同友会運動・車の両輪のごとく
(7)商売と経営・商売=自分がいなければ、経営=自分がいなくても・経営の普遍性や共通性を学ぶ
(8)目利きがきく・よい会社、よい経営者・謙虚な姿勢が大切
(9)よい言葉を覚える・言葉は思考である・社内で使う→企業風土に
(10)実践してみる・同友会は知識を得る場所(セミナー)ではない・社長になった時を考えて学ぶ、未完成だから学ぶ
(11)メリットは自分でつかみとるもの・退会理由から思うこと・多忙と言う人は時間ができたら本当にやるのか