中同協2月25日
労働委員会・広報委員会合同会議より
「労使見解」発表30年真の人間尊重経営の確立を
中同協「労使見解(中小企業における労使関係の見解)」が今年1月に発表30年を迎えました。2月25日に、中同協の労働委員会と広報委員会が合同で、「真の人間尊重経営の確立を〜『労使見解』発表30年、その到達点と新たな課題に向けて」と題し、「労使見解」作成に携わった田山謙堂氏(中同協顧問)と上野修氏(中同協労働委員長)の対談が行われました。
良好な労使関係は企業発展の条件(田山謙堂氏)
「労使見解」が発表になったのは1975年ですが、論議を始めたの1957年からです。「見解」の検討過程では、「経営者は家・土地も担保に入れて経営しているのに、社員と対等平等というのはおかしい」などの意見もありました。しかし人間と人間の関係としては対等であることを明記し、経営者の責任を冒頭にもってきました。当社でも経営陣への不信から労組ができましたが、私が心がけたことは、(1)コミュニケーションを深め、誠心誠意話し合う時間を持つ、(2)経営理念を確立し、社員が夢を持てる会社にする、(3)社員が切実に願っていることは実現するということです。これらを通して、いくら口で「信頼してほしい」と言ってもダメで、事実で示すことの大切さを痛感しました。「見解」が一貫して言っていることは、企業の全機能を有効に働かせるには良好な労使関係が必要だということで、それが経営者の腹に落ちるかどうかが問題なのです。「見解」の根底にあるものとして、「人間尊重の企業」という言い表し方をよくしますが、それは具体的にどういうことなのか、経営の実態に即して考え、議論する必要があります。そのことは、「見解」発表時とは労働環境が大きく変化している中で、今後どう「見解」を深めていくかを考えていく上での基本ではないでしょうか。
「労使見解」の延長に「中小企業憲章」が(上野修氏)
自社の労使問題で悩んでいる時、同友会を知り入会。「話し合い」を基本に、労使関係をつくっていこうと考えている同友会に自分の居場所を感じました。社員が会社に不信感を持つということは、そう思わせる経営者の姿勢に問題があることがほとんどです。労使は対立する要素をいつも持っていますが、最終的には一緒にやれるものです。そのためにも本音での話し合いを丁寧に行う必要があります。家族的にやってるからという理由で、「まあまあ」とあいまいに対応することは良くありません。「今の暮らしはこのままでいいのだろうか」と問いかけながら、働きがいから生きがいへと高めていく、共感しあえる喜びが大切にされる、そんな企業づくりが求められています。そうしたことは、人間が孤立しがちな現代社会で、人と人の絆を大切にした地域づくりをすすめるためにも大事なことではないでしょうか。「労使見解」を深め企業内で実践していく、その延長線上に「中小企業憲章」があります。「見解」を学ぶ活動は広がってきていますが、同友会全体を見渡せば、まだまだこれからの課題といえます。
※本文は「委員会議事録」を利用し作成しました。
●「労使見解」(全文)は以下をご覧ください。http://www.doyu.jp/intro/roushi.html