金融・財政センター/金融アセスメント推進プロジェクト共催金融学習会
2月15日
中小企業経営者のための銀行交渉術
中村中氏(株)ファインビット社長
「格付けを上げよう」
「金融アセスメント法」制定運動に見るように、中小企業家が声を出すことで、一人ひとりの小さな声が大きなこだまとなり、今、金融政策は中小企業へと向いてきています。現在、金融情勢は若干緩んでいるようですが、いつ何時この方向性が変わっていくかもしれません。「血液」とも言うべき金融、お金の流れが止まると、中小企業は大変苦しい立場に置かれます。こんな中、中小企業の経営者自身が金融問題について学習し、「自社の格付けを上げていこう」という主旨で金融学習会が開催され、108名が参加しました。
ペイオフ解禁で二極化が一層進む
中村氏は28年間の「銀行員」としての経験を基に、経営コンサルタントとして活躍中です。氏は報道記事を使って、「メガバンクの不良債権処理は終った。これから本格的に地域金融機関の不良債権処理が始まる」と金融再生プログラムによる金融情勢とメガバンクの変貌をわかりやすく解説されました。地域金融機関は金融庁の厳しい審査にさらされるだけでなく、この4月からのペイオフ解禁で、個人預金が集まる「良い銀行」と集まらない「悪い銀行」の二極化が一層進み、業績が悪化すれば合併・統合されると言います。
「金融検査マニュアル」〜貸付の判断基準
コスト削減により、人が介在する貸付等での交渉時間は「無駄」とばかりに減らされていきます。金融改革プログラムに沿ってメガバンクが不良債権処理を終えた今、今度は地域金融機関でも同じ動きが始まります。時間のかかる貸付交渉をなくすための判断基準として「格付け(=財務分析)」があり、これは金融庁の「金融検査マニュアル」で明確に記され、銀行はこのマニュアルに沿った指導を受けています。「地域金融機関と取引をしている中小企業に突きつけられる格付け(顧客差別)は、これからも永遠に続きます。今こそ皆さんに格付けをしっかり勉強して欲しい」と中村氏は強調します。
指針を作成しモノ言う経営者に
定量(財務)評価を上げるポイントは、(1)自己資本額の増額、(2)有利子負債金額の圧縮、(3)負債・資本合計である総資産の圧縮、(4)営業利益の増額です。また定性(決算書に出ない会社の強み)分析の評価を上げるポイントは、(1)モノを言う経営者になる、(2)中長期計画を作成することだと中村氏は語ります。「定性分析は中小企業だけのものです。金融検査マニュアル(別冊)は、中小企業の定性分析評価の事例集・サンプルです。27事例をしっかり勉強し、中長期の経営計画を立て、大いにモノ言う経営者になって、自社の格付けを上げていきましょう!」と氏は結ばれました。