第2回新会員オリエンテーション
5月30日
社員の創意を大切にして

青木義彦氏(株)サンテック社長(尾張支部副支部長)
共通の理念がなく、三者三様の道に
当社は現在、電気製品を中心とした組み込みソフトを開発している会社で、1982年に友人3人と始めましたが、共通の理念がなかったため、早くも2年目に三者三様、独自の道を歩むことになりました。当初は利益が出ず、「会社をやめたい」と思うこともありましたが、社員も10数名になり、会社への夢や要望も出されようになりました。自分の想いや彼らの夢を「いかに実現するか」が課題となってきました。そこで経営計画の本を買って、見よう見まねでつくりました。理念は何とか書けましたが、計画になると、私自身の中にどうしても「下請け」意識があり、つくれないまま終わってしまいました。それでも社員は20名、30名と増えていきました。
「面白い経営者がたくさんいる」
30人をこえた頃から、中堅社員がボロボロと辞めていくようになりました。「この会社に自分がいるという価値を見出せない」という理由です。こんな状態が7〜8年続きました。「一度会社をたたんで、自分が本当にやりたいことをもう一度探してみようか」という気持ちにもなりました。そんな頃、「経営者の勉強する場だよ」と知人から同友会を勧められ、藁にも縋る思いで入会します。入会してすぐに「新会員オリエンテーション」に参加、2次会までいろんな話をしていく中で、「面白い経営者がたくさんいる」と感じました。
『労使見解』を 読み返しながら
その新会員オリエンテーションで買った『労使見解』は何度も読みました。当たり前と思えるような事しか書いてないんですが、自社と照らし合わせながら読んでいきますと、「やってきたことが本当にいいのかどうか」について、再考するきっかけになりました。労務労働委員会の委員長になって、労使見解が何を言っているのか、他の経営者と1章ずつ読み合わせ、ディスカッションする中で、書かれていることの意味が、自分自身の中で少しずつ落ちてきました。
グループ討論の手法を自社で導入
2003年に同友会役員研修大学を受講し、先輩経営者が会社を良くしてきた話を聞いて「これなら自分にもできる」と思ったことが、グループ討論の手法です。その年の9月、自社に持ち帰って実行してみました。最初のグループ討論のテーマは「なぜグループ討論をするのか」でしたが、「仕事の時間が減るから止めて欲しい」とか「こんなことをやっても意味がない」など、否定的な意見がほとんどでした。しかし、最後に私が「今まで皆さんが意見を言う場所がなかったので、これからは隔週でやります」と言って2〜3カ月続けていくと、だんだん前向きな意見が出るようになりました。
経営理念に再び取り組んで
企業の将来への意見も出されるようになり、そこであらためて必要になったのが、当社の経営指針です。10年前の理念をタタキ台にもう一度経営指針の成文化に取り組みました。経営理念の見直しだけで4月までかかりました。経営計画については7月後半になりました。さらに、今年は1月から経営方針(戦略)もゼロベースでつくり直して、3月に完成。経営計画は今年の連休明けに完成しました。5月には全社員を対象に「経営指針発表会」を行いました。私は会場予約だけで、準備はすべて社員に任せていました。わずか半日間の発表会でしたが、非常に感動しました。社員の作成した計画等を合わせ、30頁をこえる指針書ができあがりました。
「同友会は漢方薬」
同友会でいろいろな情報を得ても、それを自社で利用しなければ会社は変わりません。やっているつもりでも伝わっていかない、というストレスは私も感じますが、同友会では「諦めないこと」を教えられました。労使見解の肝心なところは、「自社で経営者の責任をどうやって社員に示すか」です。責任があるなら諦めてはいけないのです。「諦めないで言い続ける」ことが自分の中で確信できました。「同友会は漢方薬」と言われますが、3年やったら3年分のことはあります。皆さんもせっかく同友会に入ったんですから、自分の会社を良くするために同友会を活用して欲しいと思います。
【文責事務局・井上一馬】