フォーラム第11分科会(見学分科会)
10月12・13日
「貢献・信頼・相互理解」3つの視点から考える地域と中小企業
観光と漁業が力をあわせて
第11分科会は前日より日間賀島を訪れ、報告者の中山勝比古氏が経営する「日間賀観光ホテル」で1泊で行われ、遠く広がる海とさわやかな海風を浴びながらの勉強会となりました。1日目は、かつて日間賀島に赴任し、教鞭をとられた2名の教育者の方に当時の苦労話や島の特徴、その変遷ぶりなどをお話ししていただきました。その当時から中山氏は、「日間賀島をこういう島にしたい」という強い想いを持っており、地域の人材教育に心を砕かれていたそうです。それに触発され、教育者の方々も頑張らざるを得なかったと語り、いろいろなことに取り組まれたそうです。今、それが実り、80%近くの若者が「この島に満足している」「将来はこの島のために働きたい」とアンケートに答えているとのことです。また以前は島の中で西だ東だという意識もあったようですが、「島のために」という理念の下、観光と漁業が力をあわせ島の生き残りを画策し、活性化してきました。その後のグループ討論では、「地域の人材教育にどう関わるか」のテーマで教育者の方を交えて行いました。教育者の方は、学校と地域社会とのコラボレーションを強く望まれています。そして、「中小企業経営で培った人材教育のノウハウを地域の人材育成に活かしてほしい」という強い要望も持っておられました。懇親会では、たこ・ふぐ・えびをはじめホテル自慢のピチピチ魚介類と、知多北部地区の原田酒造さんの地酒に酔いしれ、参加者は大いに満足することができました。
「かしき料理」でコラボレーション
翌朝は、島内の日間賀島浄化センター((株)エステムの設計管理)を見学しました。この施設では島の生活水を浄化し、島の生活改善と漁業と観光を守るために、島民が資金を出しあって(助成金も合わせて)整備されたものです。こうして日間賀島の美しい海は保たれているのです。その後、名古屋国際会議場へ向かい、フォーラムに合流しました。全体会と基調講演の後、再び分科会に入り、中山氏と原田晃宏氏(原田酒造(資))が商品開発の事例について報告され、グループ討論へと進みました。中山氏は次々に新商品を開発し、各種イベントやインフラ整備で島の魅力を高め、集客に努めてきました。今、取り組んでいる新商品は、「かしき料理」(漁師が舟上で作る料理)だと言います。そして、それに合う地酒「かしき」を商品化して、原田酒造とコラボレーションして進めていきたいとのことです。また、今後は将来のために、次代を考えてくれる若者の育成にも力を入れていきたいと話されました。その後、「報告から学んだこと、実践してみたいこと」「地域の中で自社の役割は何か(自社の存在意義は?)」のテーマで討論を行いました。
学んだことを実践してこそ
最後に、助言者の井内尚樹氏(名城大学経済学部助教授)より、中山氏の取り組みを分析し、自社と地域社会とのかかわりをもう一度見つめ直し、学んだことを結びつけて欲しいとまとめられました。私たち中小企業と地域との結びつきの深さで活性化した成功例をつぶさに勉強させていただき、実感することができた分科会でした。
竹内襖材(株)竹内武司(広報部)