障害者問題委員会
10月31日
「名古屋市精神保健福祉センター」にて
働こうとする精神障害者に経営者として望むこと
田中誠氏(有)進工舎(障害者問題委員長)
名古屋市精神保健福祉センターでは、市民の心の健康の保持増進や精神障害を有する方の社会復帰、社会参加の促進を図るための事業を行っています。その一環として精神障害者を雇用する経営者の話を聞く講座が設けられ、3年間、障害者問題委員会の委員が報告者を務めています。当日、田中氏は主任と障害を持つ2人の社員(Mさん、Sさん)を同行。「今は大変な忙しさ。4人が抜けると当社の業務は止まる。それでも4人で来たのは、昨年の報告の時に『社員がいないと思って、いいことばかり言って…』との視線を感じたから。本当かどうか社員に聞いて下さい」と話し始めました。
支援システムを初めて適用して
私の長男は知的障害者です。わが社の理念は「人間を大切にする」で、障害者雇用等の社会貢献は当然と考えています。この想いが一致したのが同友会なのです。9年前から就労実習を受け入れ、5年前、わが社で実習したMさんが入社した時、愛知県で初めて「就労体験支援システム」を適用、関連五団体が協力しての「ケアプログラム」も組まれました。Sさんは3年半前、「通院患者リハビリティングシステム」の適用を受けましたが、フォローがうまくいかず、結局、4月採用予定が5月になり、不安定な1カ月を過ごさせてしまいました。
「なぜ今の仕事を続けているのか」
(M氏)段取りが大変ですがセットすればあとは簡単。ここでは自分で考えて進められるのでよかったです。(S氏)全員がよく接してくれてます。(主任)私が2人に指導することはありません。やれる範囲でと言うと、2人ともすぐにやってくれるので、期待しています。(田中)得意先や仕入先が2人の成長に驚いています。原材料は4メートルの鉄棒なので最初はフラフラしていましたが、今は率先して運んでいます。体調にムラがあることだけが唯一の課題です。
「辞めたいと思ったことは」
(M氏)思ったことはありますが、皆さん、見下すような物言いをする人ではないので続けられました。職人さん達はプライドも腕も凄く、芯が暖かい。細々でも続けることが大切だと思います。(田中)最初は30分立っているのも辛かったのに、今は1日中立っていることができます。(S氏)辞めようと思ったこともありますが、主任さんを始め皆さんの接し方が期待以上で、辞めないでいます。(主任)2人の調子が悪いようなら、私が機械を動かします。仕方のないことは仕方がないと考えています。実習は、スペースと体制が可能な限り、これからも受けます。終了後、参加者に感想を聞くと、「一言一言が胸に刺さりました」と語り、深く考え込んでいました。