どうゆうき

▼2月17・18日に行われた中同協労働委員会に参加しましたが、現実を直視せざるを得ない厳しい内容でした。関西大学教授森岡孝二氏が著書「働きすぎの時代」(岩波新書)の中身をわかり易く話されて、「大変な世の中になっているな」というのが私の率直な実感でした
▼現在、統計を見ると日本は最も時短が進んだ国に見えますが、実際にはサービス残業が常態化し、長時間労働者と短時間労働者が明確に分かれて二極分化していることを森岡教授は指摘します。この原因として、(1)グローバル資本主義の逆流(米国、英国や中国も働きすぎの現実)、(2)情報資本主義の衝撃(情報化により労働の単純化と雇用形態の変化)、(3)消費資本主義の罠(利便性とスピードを売るビジネスの成長など)、(4)フリーター資本主義の大波(労働分野の規制緩和と人材ビジネスの繁栄)という4つの特徴を森岡氏は挙げ、「経営者自身の働きすぎもより進んでいる」と指摘されました
▼『労使見解』をバイブルとして企業経営に務める私たち中小企業家も、やむなく巻き込まれているのが、現在の競争社会です。いかに労使が共に有意義な職場環境や生活環境を作るかが、今日的な課題になっています。グループ討論で、「働きすぎではまともな人間として生活できず、家庭や地域の荒廃を引き起こしている」との意見も出されました。「中小企業憲章」の制定をめざす私たち同友会、その一員として今後、委員会や諸会合の中で、「企業や経営者は今、何をすべきか」を自問自答することの大切さを実感して持ち帰ってきました。

労務労働委員長 青木義彦