新会員オリエンテーション(第9回)
同友会で学んで、わが社は変わった
鈴木功一氏(株)津喜地屋(南地区増強委員)
金儲けしか頭になかった
津喜地屋の創業は明治時代で、私は4代目になります。創業当時から、米などの食料品や生活雑貨などの小売をしていました。今から13年前、私が同友会に入会したばかりの頃、近所に出店するスーパーマーケットがベーカリーのテナントを募集し、父の店でもベーカリーをやっていた関係で、私が店長として出店することになりました。その時の私はお金を儲けることしか頭になく、自分ではパンを作ることもできないくせに、パートさんのことを「金儲けの道具」にしか考えていませんでした。そんな考えでしたから、毎月赤字が続き、父からは1年で撤退を命じられました。しかし仕事にも慣れてきたばかり、地元で撤退するのも恥ずかしく、父から半独立して店を続けました。それでも赤字は止まらず、自分の給料や休憩時間のことしか考えていないパートさんに腹を立てたことも何度かありました。
青同の仲間から励まされて
店がこんな状態ですから、同友会にはほとんど出席できませんでしたが、そんな私を心配して多くの仲間が店に寄ってくれました。元気のない私を励ましてくれる方、本気で叱ってくれる方、そんな仲間の影響で、知らず知らずのうちに私の考え方も変わっていったのだと思います。店の雰囲気も少しずつ変わり、以前はつまらなさそうにやっていたパートさんから、少しずつ提案が出るようになりました。私もできるだけ耳を傾け、可能な限り、提案を採り入れました。すると積極的に意見が出るようになり、ある時「新しい機械を買って、製造方法を変えよう」という提案が出ました。資金面や技術面で悩みましたが、思い切って機械を買い換えました。新しい機械で作ったパンはお客様に喜ばれ、売上も伸びました。そして「おいしいね、また来るね」というお客様の言葉が、何よりもうれしかったです。
パートさんと目標を共有する
2年前に出店先のスーパーが全面改装した時、条件が折り合わず出ることになりました。それで今の場所にベーカリーカフェをオープンしたのですが、その時もほとんど全員のパートさんがついて来てくれました。パートさんは「おいしいパンを作る、良いサービスでお客様に満足してもらう」という目標を持った仲間だと気づきました。お互いが認め合って信頼関係が生まれ、良い方向に変化したのだと思います。
一歩あるけば、風を感じる
私が同友会に入会した目的は、一緒に飲んだりゴルフをしたりする仲間が欲しかったので、例会に出ても話についていけず、2次会だけを楽しみにしていました。しかし、初めて会員報告をした時に、自分の悩みをすべて打ち明け、その時に仲間からもらったアドバイスがとても役に立ちました。例会に数回出たくらいで、すぐに会社が良くなることはありません。「うちの地区はマンネリでつまらない」と言う人がいます。しかし、自分が一歩あるけば風を感じますし、走ればもっと強く風を感じられます。受身より主体的にしたほうが、学びはより多いと思います。同友会の会費は決して安くはありません。「社長は『同友会に勉強に行く』と言うが、会社はちっとも良くならない。同友会で何やってるの」と社員さんに言われないように、刺激しあって、良い会社にしていきましょう。