第45回定時総会
4月17日
共にめざそう!よい会社、よい経営者、よい経営環境
第45回定時総会が4月17日午後、千種区のメルパルクNAGOYAで開催され、440名が参加しました。総会に先立って開かれた「よい会社づくり〜経営指針」「よい経営者〜経営者の姿勢」「よい経営環境〜地域と共に」「組織づくり〜会員増強」をテーマにした4つの分科会では、これまでの愛知同友会の到達点や今後の課題などを学び、深め合いました。各分科会の概要を紹介します。(編集部)
第1分科会「良い会社」
良い会社=「共実」
(株)大栄電機工業社長(愛媛同友会)大野栄一氏
同友会に入会指針をつくる
「良い会社には前提があります。1、全社で価値観を共有している、2、社員さんにとって将来が託せる会社である、3、そのために場当たり的ではなく、しっかりとしたビジョンと方策で経営が行われていることです」と語り始めた大野氏。大野氏は、サラリーマン時代に、急成長で破竹の勢いだった会社内部がガタガタなことに矛盾を感じていました。両親の病で実家に戻り家業を引き継ぐと、机の上に足を放り投げて新聞を読んでいる社員、電話は鳴りっ放しという光景を目にします。悩んだ大野氏は同友会に入会を決意し、経営指針をつくり始めます。「行き当たりばったりの思いつきで、社員にあぁしなさい、こうしなさい、と言っても、社員は聞くわけない」「体系立った方針と経営者自身の姿勢を正すことが前提」ということを同友会で学びます。
まず経営者が姿勢を正すこと
「車を真っすぐに停めない社長に理念を語る資格はない」と言われ、「なるほど」と反省。社員は事細かに社長の言動を見ています。「足を投げていた社員は、今は取締役。彼と同じ資格を私も取得してから話をした」という大野氏。きちんと面と向かって話すことが大切で、その為には「気合い」も必要だと語ります。経営指針をつくったからといってすぐに社員が変わるわけではありません。まず、発表することで経営者が姿勢を正すことです。そして、モラルの構築・組織づくり・PDCAサイクルの定着へと、ねばり強い18年間の大野氏の取組みで会社が変わってきたと言います。経営戦略立案は全社員で取り組んでいます。大きな政治経済や技術の流れ、業界やライバルの分析、日々の仕事から自社の強みや弱みの分析、財務分析などを行い、重要な経営課題の抽出を行います。「外部環境も知らず、己も知らず、勝手に方針を立てやっていたら負け戦も同然」「過去の失敗は外部環境の読み間違い」との反省の上に、各事業のポジショニングやライフサイクルなど、成長方向の見出し方などが率直に語られました。
第2分科会「良い経営者」
ワンマンから共育ち社長へ〜新卒採用ができる会社に
「労使見解」を謙虚に学んで
青木義彦氏(株)サンテック社長(労務労働委員長)
この分科会のテーマは「人を生かす企業風土づくり〜経営者の姿勢とは」で、コンピュータソフトの開発技術者であった青木氏は、1人ではこなしきれない仕事を手伝ってもらうという形で、人を採用してきました。従って組織を作るとか人を育てるとかは特に考えない、いわゆるオタクの集団です。しかし従業員が増えると組織化しなければやっていけなくなり、勉強しなければと同友会に入会します。まず買ったのが「労使見解」のパンフレット。ざっと読んだ限りでは当然自分もやっているつもりの当たり前のことしか書いてない。しかしその後、内容を深く学び自社の実態と照らし合わせてみると、本当は経営者の責任を果たしていなかったことに気づいたと言います。
人間として豊かに生きよう
加藤 輝美氏(株)ケイ・クリエイト・社長 (共育委員長)
脱サラ後、退職金65万円で広告代理業を創業した加藤氏。以前は朝礼で横を向いていた社員のクビが飛ぶという超ワンマン社長だったと言います。しかしそれでは社員との間で軋轢が激しくなり、また自分自身の「良心の呵責」もあり、何とかしなければとの想いから同友会に入会します。それまで社員に対して細かいことを言い過ぎていたことに気づき、現在では役割分担を明確にして会社運営を図ろうとしています。そして、「人間として豊に生きよう」をスローガンに、生活と夢と幸せを託せる企業づくりを目指して、共に成長できるよう努力しており、「これが経営者の使命であり責任だ」と語ります。
自分の片腕は自分で採用
服部勝之氏(株)丸竹社長(共同求人委員長)
5代目になる納豆とこんにゃく等の製造販売業を営むのは服部氏。先代から突然社長を譲られた時、頼ろうと思っていた古参の社員から、新しい社長に付いていく気はないと言われてしまいます。自分の片腕は自分で採用し育てなければと、たまたま目についた同友会の共同求人活動に参加。しかし採用できても育てる体制ができていなかったために、すぐに退職されるといった繰り返しだったと言います。2年目の子に自分が教えて欲しかったことを教えるようにとカリキュラム作りを依頼し、そこから少しづつ定着。会議をしない会社でしたが、新卒で入った子の影響で、会議やミーティングも定着化したという体験を語りました。
第3分科会 「良い経営環境」
地域の期待にこたえられる中小企業とは
全国の事例を紹介
井内 尚樹氏名城大学経済学部助教授
第3分科会は、テーマを「地域の期待にこたえられる中小企業とは」と題して、同友会理念を実践する地域版である、『中小企業地域活性化条例』について、パネル討論形式で学びました。まずマクロの視点で井内助教授が問題提起を行い、小泉内閣より「均衡から競争」に進められる政策のなか、地域経済にどのような影響が現れているか語られました。また東京・墨田区の事例を紹介。行政の全事業所ヒアリングによるニーズの発掘、文化と歴史を織り交ぜた「モノ作り博物館」の取り組み、地域をあげての技術継承などなど、地域に目を向ける事をベースに、日本型共生社会を提言されました。
豊明での取り組み
大倉野重幸氏オオクラエンジニアリング(株)社長
ミクロの視点では、大倉野氏により、豊明市で進められている「中小企業地域活性化条例」の制定に向けての活動が紹介されました。人づくり(行政・地域)から入らないと前に進まない事、地域活性化会議など実行に移す具体的な仕組みが必要であることを経験から話していただきました。参加者からは「数年前から街が壊れていくのを目の当たりにしている。地域に目を向ける良い機会になった」「地域で同友会が目立たない。会員数を増やしたい」「自分に何が出来るかまずは学び、地区行事などでもこの問題を取り上げて欲しい」など感想が寄せられました。
第4分科会「組織づくり」
同友会で一番「熱い」稲沢地区から学ぶ〜役員としての学びが自分も会社も成長させた!
山田博比古氏(株)山彦専務、森健次氏(株)永和工業社長高瀬喜照氏(有)高瀬金型社長
稲沢地区は2000年度に準備会を立ち上げ、翌01年度から地区として発足し丸5年が経過しました。13名でスタートした準備会が、69名を有する地区に成長し、愛知同友会44地区の中でも、最も活性化した地区の1つです。歴代3人の地区会長をパネリストに迎えた第4分科会では、地区発足から現在に至るまでの経過からお話いただきました。
連帯の精神を発揮
初代地区会長の山田氏は「少人数で準備会を立ち上げたので、まず、全員の目標を1つに纏めることに時間をかけました」と語ります。休眠会員から一転、2代目地区会長になった森氏は「少人数ということで、お互いの連帯感を強めるため、会社訪問を徹底しました」と語ります。この精神は、大人数になった今でも、グループ会運営の中に脈々と息づいています。3代目の高瀬氏が地区会長に就任する頃には、地区が大きくなり、新しい会員も増えてきたので「出席しやすいムードづくりと、誰でも発言しやすい地区づくりを心掛けました」と言います。
同友会と企業経営は両輪
また、これだけ同友会に時間を割きながら、3名が3名とも会社を伸ばし、入会当時の倍以上に成長しています。「同友会で学んだことを会社で実践して変わりました。新しい会員さんにも、1つでも多くの学びを実践して欲しいと思います」と高瀬氏。3人とも経営者としての魅力もお持ちで、こんなリーダーだったら、きっと社員はみんなついて行くだろう、と思えました。今年3月には、5年間の集大成として、演劇「雪どけの陽」を披露。高瀬氏の実体験に基づいた台本を、出演者はもちろん、演出や大道具・音響・照明まですべて会員の手作りでやり遂げました。裏方を取材したビデオも放映されましたが、会員が「この経験を経営に生かそう」と目的を持って演劇に取り組む姿が印象的でした。