金融アセスだより
第2回
金融問題への同友会の取り組み
1957年の日本中小企業家同友会設立趣意書で、金融の問題が初めて述べられました。61年の全国代表者会議では、「最近の金融情勢に関する決議」が採択され、69年の中同協設立総会以前から同友会は中小企業の金融問題を深く掘り下げる活動をしてきました。また「国の政策に対する中小企業の要望・提言」を毎年作成し、金融問題を国の関係機関に要請。中同協では、74年の全研以降、総会も含め、金融問題の論議がなされています。97年「貸し渋り」が発生して金融問題は新たな段階に入り、2002年全研から04年の総会まで、信用金庫の理事長が報告者として登場。そこでは、金融問題への政策対応(金融アセス)と、企業防衛の課題(経営指針の確立・実践)を統一して考え、取り組むなど理論的にも実践的にも発展するものでした。
「要望・提言」での成果と実現
これまでの活動の成果や実現したことは以下です。
(1)03年ペイオフの完全解禁の2年間延長。
(2)「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」が発表され、「アクションプログラム」に金融アセス運動に対応した記述。
(3)05年3月に「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム」で地域金融機関に対し「地域密着型金融推進計画」の策定・公表を金融庁が要請。
(4)05年7月に金融庁の「金融検査評定制度」が通達され、1年後より本格導入。金融機関への監視強化・検査簡略化など選択的な行政対応の裏付となる。しかし、金融アセスで提言している「中小企業向け融資」や「地域貢献」の項目も検討段階では俎上に乗せられたのですが、定義や評価基準統一の困難さなどから導入は見送られています。今後も地道な制定運動を金融アセスプロジェクトとして進めていきたいと思います。
村上電気工業(株) 村上 秀樹