金融アセスだより
第3回
金融アセスプロジェクト委員会では、あいち経営フォーラムの第12分科会を企画担当しました。テーマは「金融情勢の変化を企業体質強化に」、報告者は(株)クリエイティブ・プロダクツ・ウエーブ代表取締役の松波正晃氏より、財務体質という側面から、中小企業のあるべき姿について報告して頂きました。
「足元が見える化」
中小企業の支援者とは金融機関がメインです。その支援者に経営課題を正確かつ明確に提示することが必要です。経営指針・計画を作るだけでは金融機関の支援は得れません。なぜなら、それは根拠がない場合が多いからです。根拠とは過去の検証といえます。それを未来の計画から差し引きすると、現在の経営課題が見え、何からやって行けば良いかが解ります。それを実践し結果が出ることにより、計画の実行過程が把握でき、金融機関への支援依頼が明確に伝えることができます。大切なのは、毎月や半期単位で状況把握する事だといえます。これが「足元の見える化」です。「見えること」で金融機関との信頼関係が生まれるのです。
金融情勢の変化
次に助言者のFMCオフィス代表・金原義彦氏より、金融機関の現状と金融情勢の変化についての報告がありました。それによると、1994年3月末に1009行あった金融機関が、2005年3月末には618行になり、大手金融機関の融資残高は、98年の340兆から04年末で210兆と減少しています。銀行の融資姿勢も変化しています。貸出審査も定量分析から、「金融検査マニュアル(別冊)」による定性分析による格付け評価も行われるようになりました。これは、中小企業経営者の資質も勘案される事を意味し有利となっています。
格付けをあげる
信用格付は、金融機関が決算書等をもとに企業格付けを行い、連動して金利・担保・保証等も優遇されるものです。同友会の金融アンケートで金融機関への改善要望に金利・担保・保証人の緩和要望がありますが、この信用格付けを上げる努力が必要となります。格付けは、都銀と信金により大きく違ってくるため、信金と付き合った方が格付けが有利となる参考報告もありました。信用保証料の利率は一律適用から、財務内容に応じた格付け(9段階)により変わりました。また財務内容の税理士確認が出来れば、0.1%の保証料割引が適用されますが、両方ともあまり知られていないようです。最後に、企業と金融機関とのコミュニケーションをはかる「リレーションシップバンキング」の話がありました。これにより、お互いの内容を把握し、経営者の資質や技術・販売力の情報を得てることができます。これは、定性評価を行い適切な融資を行うことになりますが、それには明確な財務報告や経営指針・計画書が有効な資料となるといえます。
(株)エコシステムズ 内野 孝幸