金融アセスメント推進プロジェクト主催
金融寺子屋
2月19日
経営者のための銀行交渉術
金融アセスメント推進プロジェクトでは、「中小企業経営者のための銀行交渉術」をテーマに、(株)ファインビットの中村中氏を講師にお迎えし、第一回金融寺小屋を開催しました。以下にプロジェクトメンバーお二人の感想をご紹介します。
「ものを言う」経営者になろう
1999年の金融検査マニュアル導入をさかいに、金融機関に対する政策が命令行政から規制行政へ大きく変化をし、このアクションプログラムもバーゼルA(新しい自己資本比率の規制)に進化しようとしています。これは地域密着型金融アクションプログラムといわれ、「官」の主導ではなく「民」の力で「いつでも、何処でも、誰でも、適正な価格で良質で多様な商品にアクセス出来る金融システム」を目指しています。そして、金融立国の実現に向け、魅力ある市場の創設である「貯蓄から投資」が基本的な考え方です。新会社法などの法改正もこのコンセプトから生まれています。新会社法においては、目玉の一つである種類株式の無議決権株は、言い換えれば資本で資金を調達しやすくするために創られたものです。これは、直接金融や事業承継をする企業にとって使い方が広がると予測されます。
業界の垣根を越え役割が分離
しかしながら、金融庁の目指す日本金融(金融改革プログラム)を俯瞰的にみてみると、中村氏によれば「製・販の分離」があるといいます。これはメガバンクや大企業は金融商品を製造することに徹し、地方銀行やショッピングモールなどがその支店として販売(代理店販売)に専念するということです。トランザクション・バンキングとリレーションシップ・バンキングの役割分担によるワン・ストップ・ショッピングの時代(大型ショッピングモールで買い物をするついでに住宅ローン等が借りられる世の中)がもうすぐそこまで来ているのです。確かに、身近な話として地方銀行の店頭には多種多様な金融商品のパンフレットが並びだしているのが連想されました。
「華麗なる一族」から大きな変化を見る
1643年江戸時代に田畑永代売買禁止令制定以降、札差(米を担保)や両替商(土地を担保)から始められたのが日本の金融業のルーツです。明治初期に国立銀行条例が制定され、田畑永代売買禁止令が解除されて以来、大正・昭和・平成と何百年と続いてきた大地主や財閥主導のいわゆる「華麗なる一族」的金融行政。これがわずかここ数年の法改正により大きく変化をしています。金融アセスメント法制定運動の中でも、常に経営者に求められている情報開示。市場の規律であり市場から評価されるため、経営者として襟を正すことは、「現在・過去・未来」を大切にし「ブランド・教育・後継者」に対する資質を磨くことではないかと思いました。
(株)長大商事 長谷川 睦
ルールを出し後から規制する
講演はとても勉強になることばかりでした。例えば金融監査マニュアルや金融の仕組みなど、わかりやすく説明していただきました。バブル崩壊後の現在では、金融検査マニュアルに基づき銀行が独自のルールを作り、それに対して行政が後から監査・管理・指導する事後フォロー体制となっています。これが企業統治の強化と法令遵守の強化に繋がりました。これにより私達は、より正確な情報を開示することが求められます。また、格付けは、バランスシートのみで決まるわけではなく、経営者の資質や、過去未来の把握と計画・ブランド力・社員教育・後継者問題までも影響してくるということでした。そこで私達は、それらを強くアピールし、「ものを言う経営者」にならなければならないことを学びました。今後も金融アセスメント推進プロジェクト主催で金融寺子屋を開催していきます。是非、経営者資質向上のためより多くの会員の皆様にも寺子屋に参加して、役立て頂きたいと思います。
(株)アートフレンド 近藤 正人