金融アセスだより
第7回
変化する金融の姿勢
「貸し渋り」「貸し剥がし」が話題となっていた1998年頃とは違い、金融機関は、中小企業にとってよい方向に変わろうとしているようです。例えば、「金融改革アクションプログラムに基づいたリレーションシップバンキング」(通称リレバン)の試みです。これは、経営者の資質や事業の将来性などの情報により、良好なコミュニケーションを通じて、融資を実行するビジネスモデルのことを言います。経営者の資質を高め、明確な根拠に基づいた経営計画が認められれば、自社の将来性を評価してもらえるという新しい制度です。旧大蔵省の風向きを窺うという護送船団方式から、中小企業に視点を向けるように金融機関は今、模索しています。
財務評価を重視
次には、格付け評価です。「格付け」とは、決算書、損益計算書、賃借対照表などを参考資料とし企業の評価を数字で表したものです。格付け評価は主に、@自己資本比率、A総借入金、B総資産、C営業利益などの数値向上に比例して、格付けも高くなります。また保証人や不動産などのような人的・物的評価を重視する立場から、財務評価に基づいた、個社別の格付け評価をする方向に変わってきています。これらを踏まえた上で大切なのは、金融機関に足を運び、担当者と話すこと、そして自社の格付けはどうなっているのか、また自社の経営課題は何なのかを知っておくことです。以上で得られた情報は、精度の高い経営指針書の作成に活かすことができ、自社の経営向上のためには不可欠といえます。
自らの襟を正す
金融を学ぶことは、「同友会3つの目的」を実践することにも繋がり、本来の中小企業経営者としての在るべき姿だと、私たちは考えています。金融機関は、「お金を預けたり貸してくれるところ」という認識から、中小企業に必要な協力者という認識も必要です。実は、今、私たち経営者に求められる当たり前の姿ともいえます。金融機関も変わりつつあります。私たち中小企業もいま一度襟を正し、金融機関を「最高の協力者」として付き合っていくことは、自社の発展のために必要な変革だと考えていますが、皆さん、いかがでしょうか。
日本ナチュラル(株)森川嘉満