金融アセスだより
第8回
ゼロ金利解除後の影響
ゼロ金利政策が解除されてから1年が経とうとしています。短期プライムレートは、1・37%から1・87%と0・5%上昇。これに伴い、各企業への貸出金利の引き上げ要請が頻繁に行われるようになってきています。しかし、私達はあまりにも低い金利に慣らされてしまっています。これまでの低金利を前提に意思決定をすると、過剰借り入れの懸念があります。これらのことから、経営判断の基準を修正する必要があります。判断基準の分かりやすい基準として、預借率があります。預借率とは預金÷借入金×100で計算します。通常は5割程度(借入金が1000万円ある場合、預貯金残高は500万円の状態)を目途とします。預借率が高ければ、手元にキャッシュが残るので安心感はありますが、借り入れたお金が眠っている状態(過剰借り入れ)と言えますので、借入金利息の支払いにムダがあります。預借率が低い場合は、手元のキャッシュが少ない状態を表します。よって、短期の高金利で借り入れをして、自転車操業をしている可能性が高いと言えます。御社の場合はどちらに当てはまるでしょうか。
預借率を目安に
預借率が7割(借入金10に対して預金7)を超えるような場合は、過剰な預金を有していますので、実質金利(借入金利マイナス預金金利)÷(借入金マイナス預金)を極力引き下げるべく、過度な預金については解消し、借入金の返済に充当します。資産、負債が相殺で圧縮されるため、金利差分のメリットがすぐに現れます。逆に預借率が3割を切るような場合は、預金残高を増やすために、短期借り入れや高金利の借り換えを銀行に持ち込んで、元本返済金額や利息の支払いを減らします。当社でも、A銀行から金利1・4%、第3者保証なしで、返済期間7年での借り換えのお話を頂きました。金利3・2%、返済期間5年から、金利1・4%、返済期間7年に借り換えるだけでも、毎月の元本返済金額と利息金額が半分近くになりますので、その効果は絶大です。
金利動向は
また、固定金利と変動金利の違いも重要です。例えば、1・4%固定金利と1・4%変動金利の違いは説明するまでもないと思いますが、どちらを選択するかは、今後の金利動向をどう読むかにかかっています。夏の参議院選挙が終わるまで、日銀は金利を上げてこないのではないかと言われています。報道される経済状況、ゼロ金利解除から1年が経とうとしていることを勘案すると、しばらくは金利上昇局面が続くものと思われます。金利上昇局面と判断した場合、基本的には固定金利が有利ですが、必ずしもそうとは限りません。変動金利が固定金利よりも大幅に低くて、見直し期間が長い場合は、変動金利が有利になる場合もあります。金利上昇局面だから固定金利有利、という固定観念にとらわれず、変動金利の情報も押さえて、タイミングを逃さないことです。自社の経営体質を強化するためにも、状況やタイミングに応じて、よりよい条件に借り換えていくという姿勢が大事です。
銀行ごとの特徴を押さえる
今後は、昨今の企業間における格差と同様、資金調達の面での格差も徐々に大きくなると思われます。よって、銀行ごとの特徴を押さえて資金準備をする必要があります。例えば、銀行が会社を評価する際、重視する数字に違いがあります。A銀行では売上と利益を重視するが現預金は重視しない。B銀行ではその逆だったりします。現状の借り入れ状態、銀行での評価などを押さえて、自社の経営体質をより強化していってください。
(株)レフォルマ北岡寿人