第24回中小企業労使問題全国交流会
7月26〜27日(愛知開催)
経営姿勢の確立と理念の共有
強靭な経営体質はこれでかなう
第24回中小企業労使問題全国交流会が245名の参加で開催されました。設営県挨拶で山本会長は、愛知の労働力不足や外国人労働者の課題に触れ、技術革新や生産性の向上は人が大切な要素となることを強調しました。中同協幹事長の広浜泰久氏は、人に関わる問題解決のヒントが「労使見解」に書かれていること、同友会で過去50年作りあげてきたものを経営に充分に活用することを呼びかけました。中同協前経営労働委員長の上野修氏は、社員と経営者の関係づくりについて「労使見解」をみちしるべに経営指針を土台に人づくりをしていく事が大事であると紹介しました。また、経営の原点は人であり、経営指針の実践で地域を展望していく視点が必要である事を述べました。
労働環境の変化深部の要因
初日は「時代・環境が変化しても、中小企業経営に求められ続けている“本質”」と題して、永山利和氏(日本大学商学部教授)が基調報告をしました。これは、「労使見解」の現代に置ける意義から始まり、急速に変わりつつある労働環境の深部の要因を見つけ出し、中小企業の経営体質や労使関係の改善の方向を模索するものでした。世界的な市場原理主義の進行を背景として労働や雇用のあり方が変化していくこの時代にあって、「労使見解」を経営に生かし、社員一人一人のやりがいや能力を引き出していく必要性を示唆しました。
「労使見解」で会社が変わった
2日目は「わが社はこれで変わった」のテーマで、愛知同友会の服部勝之氏((株)丸竹)が事例報告を行いました。服部氏は、共同求人に注力するものの、社員の定着率が悪く人手不足に悩まされます。社員が辞めていく根本の原因が、上司の指導や工場研修ではなく、自分が会社の将来や夢を社員に語っていなかったことにあると気づきます。そして理念を成分化し、人が育ちあう環境づくりに取り組みます。社員を共に働くパートナーとして捉えるようになり、自身の意識と会社の風土を変えました。まとめでは、中同協経営労働委員長の大野栄一氏が、外部環境の変化を意識して、自分達の出来ることは何かを考えること。そして、歴史とともに築き上げてきた「労使見解」を深く、総合的に、いろいろな観点から学ぶ必要があることを提起しました。
第24回労使問題全国交流会を終えて
実行委員長 青木 義彦氏
活きた経営指針書
愛知同友会役員、実行委員の皆様には、この度の労使問題全国交流会の開催にあたり、一方ならないご協力とご支援を頂きました事、ありがたく感謝を申し上げます。地元愛知での交流会開催は、労務労働委員会の委員長を、「何をしたら良いかが解らない」なかでスタートして以来、愛知同友会の運動に関わるひとりとして「活きた経営指針書」を広める事に、大きく役立つとの思いで進めてまいりました。この気持ちを確かにしてくれたのは、2004年8月富山で開催された「労使問題全国交流会」への参加でした。赤石会長が基調報告の中で「労使は本質的に相反する関係にある」というお話をされました。自分の中でも、なぜこんなに明らかで、当たり前の前提を忘れてしまうのだろうかと気付き、驚きました。「労使関係」が経営の基本課題である事に深く目を向けていなかったのです。
経営の基本に「労使見解」が
愛知同友会も「労使見解」を真に理解して実践するなら、会員企業は発展して会勢は伸びるはずです。そうならないのは、多くの会員が自分と同じく気付いていないだけだと確信するようになりました。そこで「労使問題交流会」を地元で開催すれば、ひとりでも多くの会員が関心を持つようになり、その後の同友会に何らかの変化が期待できると考えました。
経営者の責任と誇り
そんな思いから始まった今回の交流会も、多くの方に支えられ、登録数で245名の会員が参加する形で終えることができました。愛知同友会「労務労働委員会」として、ひとつの役割を果たす事が出来たと考えています。「労使見解」を各社の経営の基本にして、経営者の責任と誇りを持って行きたいと考えております。どうか皆様も、今回の交流会の成果や反省を今後に活かせるように宜しくお願い致します。また、新井代表理事体制になったいま、愛知同友会が3000名の優良企業の経営者団体となる基盤が出来つつあるのではないでしょうか。
第24回労使問題全国交流会
7月26〜27日
経営に求められ続けている“本質” 〜「労使見解」の現代における意義〜
永山 利和氏 日本大学商学部教授
「労使見解」を読み直す
いま日本の労働領域は大きな変化の時代になっています。従来の正規雇用、季節・日雇という雇用期間区分型から、弾力的、流動的で多様な人材活用が行われ、見違えるほどの変化が見られます。経営環境が激しく変化するなか、1975年に採択された中小企業家同友会全国協議会(中同協)の『中小企業における労使関係の見解』(以下、「労使見解」)は今日どんな意義を持ち、それを今後いかに継承・発展させるかについて問題提起したいと思います。
経営責任の追求
労使見解は、同友会運動の理念的結晶であり、経営について極めて本質的な問題に明快な答えを与えています。この「労使見解」の中身を現代に照らし合わせて考えてみます。第1には、まず経営者のイニシアティブ(経営責任)の確立論です。正しい労使関係を確立するためには、経営者が経営に対して全機能を発揮し、全責任を負う覚悟を強調しています。荒れた労使関係を経験している時代に、経営責任の確立は、正常な労使関係の基礎になるということです。そうはいっても、経営者は全能ではありません。そこで第2に、労使対等という近代法的構造のもと、労働力取引には国家規制を媒介した特別な契約関係が成立しています。この関係の下、企業に働く労働者は,国民、市民として自立しているのです。働く人々は人格や市民権を持ちます。基本的人権の尊重が前提です。その上で、企業の管理組織に雇われ、労働者は業務指示や命令を尊重しなければならない責務があるということです。これは重い言葉であり、そこには深い関係が仕込まれています。経営者が何でも命令できるのではありません。ここでは納得、すなわち了解を得られることが命令可能な根拠だという前提を含んでいます。人格を持った人を相手にするわけですから、命令は納得と裏腹です。その意味でこの業務指示が従業員に尊重されるものでなければなりません。
コミュニケーションのあり方
第3に、社内の様々な矛盾や紛争処理方法の問題です。企業運営に矛盾や問題がどのように現れるかは、経営能力が試されるところです。紛争処理可能な体制がある証明が必要だからです。経営者は労働者に誠心誠意対応し、経営者の方から前に出る積極性が大切です。ただし、「労使見解」にあるように、“物分かりの良い経営者”ではいけません。一定の距離を置きながら、一面での労使相互依存関係が説得と理解を基礎に置いた関係を構築し、他面では、対立・食い違いが表れるとき、相互調整やコミュニケーションの中で初めて業務命令が業務遂行の指針になるのです。そのためにコミュニケーションや関係づくりが大切になります。最近注目されている動向をご紹介しましょう。それは「ファミリーフレンドリー」です。雇用関係を広く理解し、ファミリーにまでフレンドリーな関係を創り上げ、労働者の家庭・家族と仕事の両立に配慮し、多様かつ柔軟な働き方の選択幅を広げること。これを経営の基本に据えようという試みです。少し理論化しますと「ワークライフバランス」になります。つまり、人間をめぐるワークとワーク以外の関係・領域とをバランスさせる努力です。
人間らしく働ける環境
これは、ILO(国際労働機構)の「ディーセントワーク」、すなわち人間らしい仕事や処遇を心掛ける勧告に通じます。それで世界的に労使関係を安定させる重要な課題だという政策志向が示されています。競争は激しいのですが、だからこそ労働・生活のバランスを保った経営様式を求め、労使関係にその流れが着々と入ろうとしています。男女雇用機会均等法(72年)もそうです。ILOの「家族責任条約」(81年)もそうです。この条約の中には、学校行事への父母参加の権利保障を規定しています。その意味で、ワークライフバランスもいずれは法制化されるでしょう。このように、中小企業で働く人たちの態度が多様化していることを考えますと、ライフバランスを従来のような就業規則や労働協約に定めるだけで良いのかという問いかけが始まったと理解する必要があります。請負契約だから、子どもの学校をめぐる保育・教育活動に企業は関心を持たなくて良いことにならないのです。逆により多くの人が気持ちよく労働に参加し、より高い能率を上げる条件作りを追求しています。
適切な賃金水準と労働条件の改善
第4に、賃金と労使関係についてです。経営コスト構成で、賃金は最も重要な要素です。同じ業種、地域内での賃金水準そして全国動向を十分に監視しながら、節度ある賃金水準を決定し、かつ労働条件についても一定の改善プログラムを組んでいく必要があります。問題はその適切な水準です。数字でこれこれの水準という解答を求めれば、それは米の品質抜きに適正価格水準を求めるように、筋を読み違えてしまいます。既に様々な形でご苦労されているように、業種、地域によって適切な水準は、最高水準と中位との中間に位置すると考えるべきです。相対的に決まるのが適正の意味だからです。単に数字で示せというのはナンセンスです。
人間性回復への条件
第5に、労働における人間性回復の問題です。つまり、労働に対する報酬だけを改善すれば良いのではなく、やりがいのある仕事の発見や、家族とのより親密な関係作り、つまり労働をめぐる労働者個人と生活全体の関係改善課題があるのです。また、労働者が会社に定着することについても、かつてのように入社したら辞めさせない努力だけではなく、労働者を会社に“定着”させるとはどういうことなのかを考えることが重要です。経営者は、労働者が隠れた能力や才能を立ち枯れさせずに、自発的に発揮させることに配慮し、質的に向上させることが必要です。
社員の才能を見つける
いみじくも、「労使見解」の中では、労働の合理化・単純化傾向が進むなかで、労働に対する自発性と創造性を創り出すのは中小企業の役割だと言い切っています。中小企業だから、一人一人の才能が見つけやすく、発揮しやすい。その意味で、「定着」条件は簡単な意味ではなく、新しい次元の労使関係への発展をこめた概念だと理解すべきです。それは第6番目につながるのですが、私たちは様々な経験や組織の状態、対立紛争を通じてではあっても、相互信頼を基礎に、労使関係を改める必要があります。改善は終わりのない努力、事業プロセスそのものです。「労使見解」の主張は文言を固定的に考えるべきではありません。新しいもの、より良いものを追求することである。これが「労使見解」の精神です。
経営環境を改善
最後に、個別経営問題に留まらない経済全体のシステム問題とのつながりです。70年代では、物価・住宅・社会保障・福利厚生施設などの問題をはじめ、いち企業だけでは解決困難な問題を経営責任で処理しようとしました。それは必要な努力ですが、今後も問題によっては企業の解決課題か政府・自治体の政策課題かを判断し、経営環境をより効率的で、良いものにする政策対応が大切です。経営外部の問題に取り組む積極姿勢を保ち、その姿勢を経営問題にもフィードバックする。これが「労使見解」の基本的手法です。
自己責任の社会における雇用形態の多様化
「労使見解」の採択から30数年が経過し、その間大きな変化がありました。それは具体的に言うと、国際金融秩序維持の責任が国家から民間へ大規模に移転されたのです。市場原理、市場主義という名の世界秩序の“政策化”といえます。
自己責任世界の到来
この流れを一言で表すと、“自己責任世界”になったのです。これにより、企業・個人に世界経済変動の責任を細分化し、各企業、国民に、世界市場化・世界市民化とし、自己責任を前提に市場の仕組みにおける責任体制を作り変える政策展開が進みました。規制緩和政策はその中心課題です。その結果、経済・市場構造が複雑に変わり、今も変わりつつあります。雇用に限定すれば、一企業に、企業が直接雇用関係を作るシステムと直接雇用はしていないが様々な取引関係を通じて外部労働市場とつながるシステムとが混在する状況が生まれています。3年前に中同協が行った『DOR特別調査』は、2002年からの景気の上昇過程で中小企業経営の雇用関係に大きな変化が生じていることを発見しました。
雇用形態の多様化
特徴的なことは、リストラが盛んであった時代に、多くの中小企業が将来を見据え、中長期戦力の確保に新卒者を積極的に正規雇用化する傾向が進みはじめたことです。また一方では、派遣労働者、外注・下請、契約社員などの正規雇用以外の採用が、業務ごとに定着したことです。従来のように、足りない労働力の穴埋め、補完にパートタイム労働者等を活用するのではなく、職種ごとに雇用形態が異なり、仕事や職種に見合い、かつ労働者の希望にそった雇用形態の摺り合わせになっています。つまり、雇用形態や働き手の力に相応しい労働力を各ポジションに充て、将来正規雇用化するだけでなく、働く人たちの力量や会社の必要を摺り合せた雇用管理が進んでいます。男女区別や年齢の高低の垣根も段々少なくなっています。このような雇用形態の多様化を大きな労働市場に当てはめて考えると、経営の仕組みが次々と変化して、業務責任の在り方や労働の成果評価にも多くの多角的評価要素が生まれています。それに対応して働く人々もそれを評価し、企業との関係を築く。そういう市場機構の中で企業も労働者も取捨選択、栄枯盛衰が決まる新選択の時代へ移行します。
豊かな雇用関係をいかに作るか
では、この新しい経済秩序の中で「労使見解」を発展させていくためにはどうしたら良いのでしょうか。
中小企業が守る市場秩序
グローバル化には企業業績評価システムの転換があります。資本主義の市場は放っておくと寡占化になります。だが、中小企業の参入条件の整備によって、それをかなり予防できます。20世紀の半ば以降、市場秩序維持の第2の基本的歯止めとして、中小企業を存続・育成させ、新規参入を促進させる法律が世界各国で生まれます。日本の中小企業基本法(63年)もその1つです。つまり、独占企業規制の公正取引法(独占禁止法)と中小企業基本法が両輪になってはじめて市場秩序が保たれます。中小企業基本法は、中小企業を弱いから守るのではありません。市場秩序維持のために、中小企業の存在、発展・拡大が不可欠です。21世紀に入ってEU、OECDが中小企業憲章を作り、中小企業の発展、育成を図っています。その理由は、グローバリゼーションが進むなか、市場を金融主体の流動化、規制緩和策に委ねると、独占・寡占企業、多国籍企業の流れになります。憲章採択は、その流れを止め、世界市場を公正競争的に維持・発展させようとする政策体系が不可欠と判断したからです。これを世界市場経済秩序の流れと受け取り、同友会も中小企業憲章制定運動に取り組んでいます。
労働ビッグバンで何が変わるのか
雇用形態が多様化する傾向の中で、労使関係に関する法的構造も大きな変化の時代になっています。“労働ビッグバン”です。これらは、いま新しい法案が国会で継続審議中です。大きな変化は、労働契約法制です。旧来の集団的労使関係では、労働者は企業内労働組合を通じて会社と集団取引し、賃金・労働条件を決定しました。労働契約法制では、集団的労使関係もありますが、労働者と個々の契約締結が可能ですし、個別労働契約内容の変更も可能です。したがって、会社の労働条件や労働内容を規定するものも、従来から存在する就業規則と労働協約のほか、個別の労働契約が加わります。この3本の法規が混在します。ということは、これまで労働者保護体制であった労働諸法規が、いわゆる民法的雇用・労働契約領域と重なってきます。この法案の中身の良し悪しの評価は別にして、そういう制度が法体系として準備される時代であることを認識しなければなりません。
パッチワークのような労使関係
要するに、新しい多様化した労働者の意識、社会経済環境変化の中に、法的処理や社会保障制度運用をめぐっても様々な、パッチワークのような労使関係が生じる時代に変わってきているのです。それは一面で、企業のコスト削減が作り出した側面もありますし、労働者の側で様々な働く条件への多様な対応が生み出した市場的取引の帰結という側面もあります。例えば、子どもがまだ小さいとか、介護を必要とする人がいるとか、子どもは大きくなってまだ働きたいが八時間労働は厳しいとか、様々な条件があるでしょう。そうした諸事情に対応し、各条件にどれだけフレンドリーであるか、どうバランスを取るかが求められるのです。だから従来のような一律に定めた法体系では処理できない。新たな仕組みを模索し、対応出来るシステムが模索されています。柔軟化、弾力化いかんで才能や能力発揮の程度が左右されるのです。
真の“参加型企業”とは
今、資本世界が激しく加速的変化の時代に、スピードある変化が要求されています。また企業・経営組織のオペレーション力が求められ、組織の統合・合併・子会社化・分社化などいろいろな手段を駆使し、自己責任制市場の中で経営しなければなりません。専門性・注意力・リスク負担を減らしながら事業展開する。そうした多角的目配りが経営の随所に求められています。その一部が労使関係の中にも入り込み、活用する人材の質的確保と労働成果が決められます。世界全体も同様な方向と思われます。特に私が言いたいのは、賃金・労働時間の世界だけではなく、労働者が企業に参加できる形をいかに作っていくかということを考えるべきであるということです。その意味で、ヨーロッパにおける「参加」が非常に参考になります。
分ち合う利益とリスク
ヨーロッパ型参加は、経営者と労働者が利益とリスクを共に分ち合い、互いにパートナーシップ形成に向かうことであり重い意味といえます。この参加方式は、サインしたら労働組合も労働者も実行しなければならない仕組みです。参加とはひとつの契約形態です。一方、日本の「参加」は、同じ参加という名でも、事業責任は経営者のみが取り、労働者、労働組合は意見を言うが、責任がない、いわば片務関係型です。それも次第に変化せざるを得ないだろうと思います。日本社会は人口減少が進み、暮らしの中から見た雇用や労働のあり方が家族生活や社会生活を悪化させていないかを大いに考えなければなりません。
働きがいを実現
実は多くの会社で悪化し、そのことで労働者の主体的な希望実現にブレーキがかかり、壊されています。その傾向をいかに改めるかについて、集団的労使関係の中だけで論議するのではなく、個々の労働者の中にはいって処理する時代になっています。したがって、経営戦略も、法への対応も、新しい雇用システムを工夫・創造し、その競い合いが企業を越えた市場秩序の基礎になるでしょう。どのように働きがいを実現していくのか、その仕掛けを作る必要があると思います。それには、経営者は労働者一人一人の立場、要求、信条や将来への配慮が求められます。労働者の悩みや生活環境の問題を引き出し、これに可能な対応、配慮が重要だと思います。労働者を知りすぎて困ることはなく、躊躇しないで本音で語る関係作りが大切です。
職業教育の充実
また、EUの中小企業憲章(ヨーロッパ小企業憲章)の第1章は「企業家精神のための教育と訓練」となっており、そこでは次のように謳っています。「企業経営および企業家精神に関する知識は、学校教育のあらゆる段階で教えられる必要がある。特定の企業経営に関する履修すべき内容は、中学校・高等学校および単科大学や総合大学において、教育計画の中の基礎的要素として扱われるべきである」。その内容は、例えば法律を守る、誠実にものをつくる、そのことによって環境を壊さない。ビジネスを通じて人々に喜びや何らかの夢を与えていくというものです。
仕事は人間の基礎
このことからは、仕事は人間が生きていく上での基礎であり、それがしっかりしていることが人間を育てていく土壌であるということが伝わってきます。日本でも、大学を含めた学校教育において職業教育を充実させ、労働者が働くことに対する心構えを作っていけるよう整備する必要があると思います。こうした複雑と見えるものに対応するシステムが、段々出来つつあります。あるいはそうならざるをえない関係があるのだと思います。それが労働ビッグバンの意味であります。しかし、今出されている労働契約法制で処理できるとは思っていません。とはいえ、その流れの始まりをしっかりと認識し、これらメガトレンドの中で、新しく“共に育つ”経営が「労使見解」の新時代に向けた新たな取り組みとして展開することを期待します。
(文責 中同協事務局・田井)※紙面の関係で一部文章を編集させて頂きました。(編集部)