情勢学習会
1月16日
中小企業と地域を取り巻く環境
井内尚樹氏 名城大学准教授
遠州尋美氏 大阪経済大学教授
情勢と課題を探る
定時総会の準備として中小企業を取り巻く情勢、地域の課題を学ぶ情勢学習会を開催しました。まず井内准教授から愛知県経済の現状と課題を提起いただきました。自動車産業の動向についてアメリカ、国内での販売台数の減速傾向、国内生産体制の再編成による愛知県での直接生産の減少を説明。また、部品加工工程の変更により、これまでの工程がなくなるなどの変化があり、中小企業がどこまで対応でき、地域のモノづくり集積をどう支援していくのかと課題が提起されました。地域づくり施策では依然、施設建設が中心であり、施策の転換の必要性を指摘。産業観光も墨田区や東大阪市のように地域の中小企業を紹介する取り組みがあることを紹介しました。さらに第2名神、東海北陸道の開通による北陸地域との交流、道州制を見据えた地域づくりなど今後の課題が提起されました。
世界経済の動向
続いて遠州教授からは世界経済の動向について提起いただきました。サブプライムローンの焦げ付き不安や、個人消費停滞によるアメリカ経済の後退と、それに伴う中国経済の停滞が懸念されています。ヘッジファンドによるマネーゲームは実体経済に寄与せず、世界経済成長率は長期的に低下傾向にあることなど、世界恐慌の予兆があると指摘しました。
さらに地球温暖化の対応が避けて通れない状況であり、今後、温室効果ガス排出量の削減政策が打ち出されることを紹介。こうした温暖化対策が生産コスト、ひいては消費財価格を押し上げる可能性もあり、温暖化問題は中小企業経営にとっても無関係でないことを説明しました。その上で、これからは再生可能エネルギーの利活用を中心に低エネルギー社会への転換が課題となること。そして、これらを新しい市場を切り開く好機と捉えて積極的に取り組むことが必要だとまとめられました。