金融アセスだより
第17回
貸し渋りの実態調査から
金融アセスメント推進プロジェクトの名称が来年から変わることになった。振り返れば1997年11月の景況調査で初めて「貸し渋り」の実態調査を行ってからほぼ10年が立とうとしています。98年秋に「特別信用保証」が行われましたが、銀行が強引な借り換えを要求。さらに「貸し剥がし」が横行しているとの情報から緊急調査を行いました。その結果が決定的に重要になり、記者会見を境にマスコミがその情報を取り上げ、競うように報道されうねりとなっていきました。そして、5党の国会議員が参加した「政党シンポ」の開催で政治の舞台も巻き込んでいきました。そこで初めて披露されたのが「金融アセスメント法」なのです。司会を務めた学者が後日のNHKで「中小企業経営者と国会議員が法律を作るための初めての懇談」と評されました。
経営環境を改善
当時は拓銀、山一證券の破綻から経営環境は悪化の一途をたどる一方でした。さらに金融政策の失政により、法人の血液とも言える資金が流れない中、最も苦しんだ中小企業経営者が、学者、研究者そして政治家を巻き込んで愛知から全国へ飛び火していく運動となっていきました。会の目的のひとつである「経営環境の改善」はまさにこの時から動き出したと思います。さらに署名活動、地方議会の意見書採択運動を経て、03年には我々の「金融アセスメント法案」が金融政策に反映された「リレーションシップバンキング構想」の発表に至り、私達の努力が結実します。この活動を風化させてはいけないと思います。最後にこの運動の発端は、社会のためにと考える学者の「愚痴」に、日常に苦しむ地方の中小企業経営者が「意地で応える」ことで始まったことをお伝えしたいです。
(株)三恵社 木全哲也