第47回定時総会
4月22日
実践!ビジョンで掲げる企業づくり、地域づくり
第四十七回定時総会が4月22日午後、千種区のメルパルクNAGOYAで開催され、372名が参加しました。総会に先立って開かれた5つの分科会では、これまでの愛知同友会の到達点や今後の課題などを学び、深め合いました。以下に各分科会の概要を紹介します。(編集部)
第1分科会「企業づくり」
すべての会員が黒字企業に
青木義彦氏(株)サンテック社長
白井美佐子氏(株)ライアス社長
加藤輝美氏(株)ケイ・クリエイト社長
田中誠氏(有)進工舎社長
第1分科会では、労務労働・共同求人・共育・障害者問題の四委員会の委員長をパネリストに、「同友会らしい黒字型企業」の内容を深めました。労務労働委員会の青木委員長は、真剣に悩んだときに労使見解と出会い、「社員1人ひとりと腹を割った話ができるようになり、ようやく少しずつ会社も変わってきた」。共同求人委員会の白井委員長は、「新卒を採用するためには社内整備が不可欠で、その改善の結果、会社らしい会社になってくる。新卒社員から既存の社員が気付くことも多い」。共育委員会の加藤委員長は創業当時を「他に例を見ないワンマン社長だった」と振り返りますが、「『会社は人なり』という言葉の『人』とは社長のことではないか、と思い、今は共に育つ社風づくりに力を入れています」。障害者問題委員会の田中委員長は、「障害者の就労実習を受け入れた縁で障害者を雇用しています。厳しいと思われがちな職人さんが、障害者のことを思いやる気持ちを持ち、お互いに助け合って仕事をしています」。日々の会社経営においては、ともすると「黒字」の部分だけが先行して捉えられがちですが、同友会理念にそった企業づくりの中で、黒字を出せる企業になっていくのだ、と学びました。
第2分科会「地域づくり」
地域を元気にしよう
高原藤一氏(株)たかはら社長植田浩史氏 慶應義塾大学経済学部教授
西尾・幡豆地区の取り組みから
第2分科会では、「西尾・幡豆地区の取り組みから今後を展望する」と題して、@西尾・幡豆地区地域問題委員会の取り組みについて高原藤一氏(西尾・幡豆地区地域問題委員会委員長)が事例報告、A助言報告に慶應義塾大学経済学部の植田浩史教授から全国の動向と条例の意義や要点についてお話をいただきました。西尾・幡豆地区では、商工課長や商工会議所会頭・事務局長、さらに市長とも懇談を重ねて活発な渉外活動を展開してきています。そして、条例文案を作成し要望書も提出しました。
自社のスタンスを明確にする
それらの取り組みに至る経過や思い、対外的に同友会や自社を語る活動の中で得られた多くの気づきや学びから、高原氏は「まず経営指針をつくり自社のスタンスを明確にすること。良い商品・サービスを提供して行政や地域から信頼されることが第一」、そして「お互いの立場を尊重したリレーションシップづくりが大切」と強調しました。条例は、中小企業を重視した地域産業政策を宣言し、継続性を担保するものであると同時に、中小企業自身の姿勢や行動が問われるものです。条例制定の意義と要点について、学びを深め、意をあらたに今後を展望することができました。
第3分科会「会員増強」
増強活動で会社と地域が変わる
小澤一夫氏(有)ビレイパレス社長 永井良周氏(株)ナテック社長
7年連続で増強目標達成
第3分科会では、増強活動の意義を、7年連続で増強目標達成している稲沢地区の取り組みから学びました。2008年度の地区会長の小澤氏から、まず「なぜ増強するのか」を地区役員会でじっくりと討議して、新役員が増強の意義を充分理解すること。その上で、毎年地区会員数の3割以上の目標を設定することの大切さが報告されました。さらに、「自社の発展は、増強委員を引き受けたからこそです。増強活動を通じて、本音で経営相談のできる仲間や、攻めの経営姿勢、さらには、社員との共育ちの大切さを理解できました」と2007年度の増強委員であった永井氏が報告しました。
自社発展のための増強
改めて、同友会のためではなく、自社発展のための増強活動であることがグループ討論で交流されました。また、地区会長の役割として、増強委員だけが増強するのではなく、地区会長も二人三脚で増強の先頭に立つこと。そして、増強委員の熱い想いを掴んで、タイミングよく地区に展開することが必要であると、2007年度の稲沢地区会長である服部勝之氏がまとめました。
第4分科会「組織活動」
経営に生かせる「地区」づくり
堂上勝己氏 梅南鋼材(株)社長(大阪同友会代表理事)
学べる組織へ
第4分科会では、経営に生かせる地区作りを念頭に、役員が地区で同友会での学びを実践することの意義を、大阪同友会の代表理事の堂上氏を報告者に迎えて行われました。堂上氏は、大阪で鋼材の販売業を営んでおり、その業界の現状から報告は始まりました。そして、客先の減少、原材料の高騰などの厳しい環境のなかで、自らの経営体験や、大阪同友会での学べる組織作りの経験と事例を中心に報告しました。そのなかで、役員は、学んで実践した姿を他の会員にみせていき経営発展させていくことが役割でもあること。それが学べる地区となっていくことを強調しました。
運営中心ではいけない
なかでも運営中心の活動ばかりしていては、会社の発展どころか倒産しかねないこと。同友会は会社を発展させることが本業であることの報告は参加者の心を捉えていました。引き続いてのグループ討論では、「地区作りにおいて役員はなにをすればよいか」というテーマで、経営にいかす地区づくりの「役員の役割」を、参加者で議論しました。まとめとして座長の杉浦三代枝氏(副代表理事)から、役員は実践して自社発展に結びつけていくこと、そして役員は率先して会員の手本となることをまとめました。
第5分科会「学び方を学ぶ」
経営が楽しくてしかたがない
10年を振り返る
はじめに、(株)羽根田商会の創業からの歴史をDVDで視聴しました。時には苦難の時期もありながら、全社一丸となり乗り越えて来た感動のドキュメントでした。同友会に入会して10年、社長になって10年、同友会と経営は不離一体だと自分の10年を振り返り「不離一体シート」を使い紹介しました。地区会長を受け全国会合の報告者を務めることがきっかけで、1枚の手書きの経営指針を作ります。そこで経営戦略が必要だと思い何度も作り込んで行った結果、現在では4つの経営戦略を持つ冊子の経営指針書に進化しました。2005年からは、それまでは社内で開催していた経営指針発表会を、同友会の「活動のてびき」にヒントを得て外部からお客様を招き、ホテルに会場を移しました。それを契機に社員の経営指針への姿勢が大きく変わりました。
ポイントは新卒採用
佐藤社長ご自身が作られた「同友会における経営のサイクル」の表を説明しながら、「採用」や「共育・教育」についても語られました。佐藤社長が理念を語り、それに共感して入社した社員が全社員の半数を超えたときに、社内が大きく変わったそうです。「共育・教育」についても、「何のために」という理念をしっかり浸透させた上でスキルアップをしないと社員はなかなか成長しません。どの角度からも「理念型の経営」をすることにより、大きな成長を遂げていることが良く伝わってきました。最後に「イチゴミッション」と名付けられた社内プロジェクトの活動がDVDで紹介されました。1億5000万円の売上目標を掲げたこのプロジェクトは、他の社員の自主的な応援に支えられてみごと大成功を果たします。これも感動的で、思わず胸が熱くなるものでした。