金融アセスだより
第20回
環境ビジネス
国際社会は温室効果ガスに対し規制を強める方向で一致しています。今後中小企業においても環境を考慮に入れたビジネスが必要となり、また新しい産業におけるビジネスチャンスでもあります。EUは今年2月15日、「EU並みの温暖化対策を施していない外国からの輸入に対し規制をかける」という方針を発表しました。(2011年導入予定)輸出に頼り、周りを海に囲まれているわが国は、EUへの輸出競争力に打撃を受ける可能性が高いのです。このように、世界的に地球温暖化問題への対策が加速する中で、温暖化対策を行っていない国は、経済的な損失を受ける可能性も高くなってきています。
排出権取引
温暖化対策への取組みについて一歩遅れをとった感のある日本政府ですが、経産省は2月25日、今まで消極的であった国内排出権取引の導入について研究会を立ち上げ、導入を検討する方針を発表しました。排出権取引は、規制により二酸化炭素など温室効果ガスの排出権に付加価値をつけ、市場で商品のように取引するという発想で新しい金融取引分野(排出権取引)を創り出したのです。投資家にとって魅力的な新たな収益機会となっています。投資家としてなのか。またビジネスとして温暖化対策に参加するのか。従来からのビジネスからみると新たな規制であり、コストの増加要因でありますが、金融機関は省エネ投資に対し融資を行い易いことや、雇用が広がることも期待できます。そして、自動車部品、生活必需品、ヘルスケア、情報技術、金融、アパレル、電気通信サービス、公益事業など、まだまだ我々中小企業にもチャンスがありそうだといえます。しかし、景気、原油価格、排出権価格などの動向によって温暖化対策の推進スピードに強弱はありそうですので注意は必要です。そうはいっても、冒頭で述べたように国際社会は温室効果ガスに対し規制を強める方向で一致しており、環境を考えにおかないビジネスは許されなくなってきているのです。
(株)リブレボーテ 宮崎 由美