金融アセスだより
第25回
取引の見直し
先日、建設工事業の取引先を訪ねたところ、なにやら会長と社長がヒソヒソと話をしている。丁度良いところに来てくれたと。「長年下請けとして受注を受けてきたゼネコンとの取引を見直そうかと考えているがどうでしょうか」という内容である。新興マンションデベロッパーや中堅ゼネコンの破綻が相次いでおり神経質になっていることは理解できるが、別に工事代金が滞っているわけではないという。ましてや、この建築業者は中小企業であるが、取引を見直そうと考えているゼネコンは地元の地域トップの上場企業である。それでも、このゼネコンは、経済月刊誌がリストアップした経営環境の厳しいゼネコンの上位にランクインしたことなどから、不安でしかたがないということである。
小が大を選別
まさに小が大を選別しはじめている。それも次はどこが破綻するか、という疑心暗鬼から実際にアクションを起こしてしまう。1歩間違えれば風評で大企業でも破綻しかねない話なのだが、恐ろしいことに現実にこれが今、不動産・建設業界に起こっている。もっとも現状は、業界を問わず大抵の業種で業況は厳しくなっている。さて、このような環境下、銀行の融資姿勢はどうなのか。これはそれぞれの取引銀行の対応などから皆さんも感じるところがあると思う。
今やることBR>
新聞等では、銀行は貸し渋りをしないと宣言するが実態はどうなのか。また、当局から各金融機関に対して資金の円滑な供給を要請しているとのことであるが、取引銀行に対して必要以上に期待することはやぶ蛇である。つまり、今われわれ中小零細企業がしなければならないのは経営の改善努力であり、そのための投資を惜しまないことだと思う。取引先の見直し・人員削減・さらなるコスト削減策等、取引銀行の助言を求めながら進めていくことなのである。さらにはそういった助言がもらえて初めて取引をする意味のある銀行だと考えている。
(株)ナゴヤ協会 大島浩司