第2回基礎研修講座
11月18日
同友会のめざす企業像と経営者像
浅井順一氏(株)浅井製作所
悩んで同友会へ入会
2000年に社長に就任し、今年で8年目になりますが、以前から下請け会社として客先の要求への対応に追われていました。また毎年コスト削減を要求され、事業を拡大していく業界であり、仕事をこなすための人集めに奔走していました。会社の方向性も将来も分からない状況で、何とかしなければと迷っていました。経営計画書なども作らねばと思いつつも、自分だけでは作り方がよく分からないと悩んでいました。そんな時に知人から同友会を紹介され、「経営指針」を勉強できると聞き入会しました。
見えなかった会社のあるべき姿
入会1年目、「指針作成の手引き」を参考に、経営指針を作ってみました。経営理念は、以前に前会長がつくったものを。方針・計画は、他の会員企業の計画書を参考にさせてもらいました。こうして作った経営指針を、社内で発表しましたが、社員からは冷めた目で見られまったく受け入れられませんでした。後の反省で気づきましたが、この指針は経営課題を、ただ羅列したに過ぎなかったのです。また何より、社長である自分自身に会社のあるべき姿が見えていなかった、理念が自分の腹に落ちていなかったのだと、同友会で指摘されて気づきました。しかし、実際に指針を作り、発表したこと自体がひとつの前進であり、次につながるのだと位置づけて、引き続き指針作りを進めました。
なぜ新卒採用か
2年目の経営指針は前年の教訓を生かし、社員の意見も入れて作りました。その発表会には同友会のメンバーにも来ていただきました。指針の実践で最も大事なのは理念の共有化だと学んだので、共有を図るために社内早朝会議をはじめました。3年目の指針には、初めて「共同求人への参加」を計画に入れました。今後の会社発展のためには、新卒社員を入れて、自分たちの手で将来の幹部社員を育てていこうと思ったからです。しかし社内では新卒の子が来てくれるわけがないとの空気が強く、この年は共同求人への参加には至りませんでした。ただ、「なぜ新卒採用か」をリーダー社員たちにも考えてもらうきっかけにはなりました。
働く仲間と共に歩む
翌年には共同求人への参加が実現しますが、求人の準備段階から会社の変化は始まります。私は共同求人の会議で「単なる人採りではなく、学生に選んでもらえる会社にならなくてはならない」と学びました。新卒に来てもらうためには、いろいろと社内整備をしなければなりません。こうした中で気づいたのは、結局は社員が育ち一緒に会社を伸ばそうとならなければ会社の発展はないことです。ですから私は理念の中で「働く仲間と共に歩む会社」を最も強く伝えたいと思っています。当社に来てくれた社員には、当社の理念に肩まで浸かっていただき、一緒にお互いを、そして会社を成長させて欲しいと願っています。今年度、5年目を迎えた指針作りは、社員と一緒に行いました。社員も参画してこそ、身になる経営指針になるのだと気づいたからです。今年はアメリカの金融危機以降、厳しい状況にあります。このような時こそ指針をもとに社員と力を合わせ、乗り切っていこうと思っています。