金融&経済情勢学習会
3月16日
「100年に1度の不況」とどう向き合うか
山口義行氏立教大学教授
立教大学経済学部教授の山口義行氏をお招きして、金融&経済情勢学習会「100年に1度の不況とどう向き合うか〜今、中小企業経営者のなすべきこと」が開催されました。 昨年9月15日のリーマン・ショックを境に世界の経済情勢は一変しました。リーマン・ブラザーズの社債を保有していた日本の銀行は赤字に転落し、その銀行の自己資本比率規制によって、企業の資金繰りに影響が出ているのです。そのため、商圏が地域に限定されている中小企業でも、目線は常に世界へ向けておく必要があると山口氏は語ります。今回の不況は、経営者自身で会社を守るための情報収集ネットワーク作りの努力が必要だという教訓を残したといいます。更に、この不況で経営者がすべきことについてのキーワードを山口氏よりいただきました。
「守る」
まずは「守る」というキーワード。この不況の中で会社を守るために、資金繰りは重要です。そのために、経営者は、「金融検査マニュアル」を始めとした銀行のルールを学ぶ必要があります。例えば、銀行の企業格付けは5段階になっていて、銀行は融資額に対して、企業のそれぞれの段階に応じて決められた割合の貸倒引当金を積まなければなりません。これは中小企業の業績が、銀行の利益に直結しているということを意味します。ここから貸し渋りや貸し剥がしの問題が発生するのです。一方、リスケジュールをしても、企業が5年以内に黒字化する計画を作成していれば格付けは下がりません。
「つなぐ」「問う力」
次は「つなぐ」キーワード。今後起こるであろうデフレによる値引き競争に巻き込まれないためには、付加価値の提案が必須です。中小企業が苦手な情報発信や商品開発を様々な連携で補うのです。最後に、今、経営者に問われているのは「問う力」です。この不況下では、今までと同じやり方は通用しません。そのため、経営者の「問い続ける」という仕事が重要となります。今年はその最大のチャンスなのです。同友会では、金融アセス委員会や景況分析会議などの活動を行っています。今回の学習会をきっかけに、よい経営者としての勉強を深める場としてぜひご活用下さい。
イトー司法書士事務所 伊藤大輔