金融アセスだより(第35回)

原料価格が1割台に下落

私の会社は、鉄のスクラップ問屋です。昨年のリーマンショックの余波をまともに受け、各産業の基礎素材である鉄も大幅な減産と急激な価格下落となり、瞬間的には価格が12%になりました。
こうなる以前には、金融学習会で山口教授から「2008年の秋には大変な事態が起こる」という話を聞いていたのですが、正直その時点では話半分に聞いていたのです。
かねてから財務状況がよくない我が社は、いかに金融機関からお金を借りるかが大きな課題でした。金融アセス委員会の金融寺子屋に行き、財務・管理会計の導入により、問題点を洗い出すなど社内改革に取り組んでいました。
しかし問題解決までには至らない状況にありました。そんなさなかに起こったのが、リーマンショックです。幸いなことに、価格が急激に下落した事により運転資金にゆとりが生じ、内部留保しようとも思いましたが、格付けを上げることを優先させ、金融機関の借り入れを一度完済しました。

次の危機に備える

その後、従前の借入額の約80%相当額を再び借入れましたが、結果金利を1・5%程下げることができ、今では他の金融機関からも「融資を受けてほしい」と言われるようになりました。
景気が底入れしたと言われつつある現在ですが、中国発・アメリカ発の次なる危機により、二番底がくるかもとささやかれています。現在、我が社では借入金の返済により余った担保を温存し、制度融資で運転資金を調達するなど次の危機に備えをしながら社業に励んでいます。
今回のことで学んだことは、自社や自社を取り巻く環境の問題を把握する事と、変化に対する素早い対応が必要なことです。金融の知識なくしては、素早く効果的な行動はとれません。やはり同友会では学ぶことだけに留まらず、まずは実践することが大切だと痛感しました。
徳島興業(株) 徳島 孝志