どうゆうき
▼民主党新政権が誕生して2カ月。民主党の政策論議では借金返済モラトリアム、八ツ場ダム、子育て支援など、話題に事欠かないが、食に関わる者としては農業・食糧問題のコメントが少ないのが気になります
▼第11回あいち経営フォーラム基調講演でモクモクの吉田専務が語った話です。「茶色の牛だからコーヒー牛乳を出すの?と、今の子供はスーパーで売っているものと、農業のつながりがわからない。農と食べ物が遠くなったところに問題がある」
▼小泉武夫氏の「食で日本を建て直せ」によると、EUは27か国を統合し、通貨はユーロで統一、EU内での出入国にはパスポートは不要になりました。しかし、民族の大切さや存在意義をよく知る彼等は2つだけ統一せず守っています。それは「民族文化」と「農業」。EU統合前、27か国で60歳以上の定年を迎えた人に「あなたがもう一度仕事に就けるとしたら何?」の質問に60%近くが農業と答えたといいます。彼等にとって農業は生命産業と、小さい時から教えられているからです
▼とりわけイギリスは07年全収入の70%は国からの補助でまかなっています。それは「農家は株式会社のように利益を追求するだけのものではない。国民の食べものは、国民の生命線であり、命綱だ。国民の命を守ってくれるのだから、農家は国が守らなくてはいけない」という発想が根底にあるのです
▼鳩山政権が文字通り国民を食わせてくれるのか、農家への戸別所得補償制度で、どのように国民的合意を作るのか。農業の視点で新政権の行方を見守りたいと思います。
相談役 福谷 正男