金融アセスだより(第36回)
資金繰りに奔走
当社は、土木建築設備資材の卸売業を営んでおります。会社は株主も代表者も身内ではありませんが、経営を任されていた父の後継者として入社しました。それから父の退任に伴い、突然資金繰りを任されました。
当初、「利益は出ているから」と単月での資金管理しかしていなかったため、資金ショート寸前になり資金繰りに奔走していました。
そんな中、金融アセス委員会に参加。まずは資金繰表を作成し、キャッシュフローベースで管理するようにしました。資金の過不足にかかわらず金融機関に毎月試算表を提出し、資金が必要な時期とその理由、将来の展望を日頃から説明することで、円滑な融資を受けられました。
日頃から情報開示
学びの中で、利益が出ていても、資金繰りが苦しい理由が分かりました。そこで支払方法や在庫を見直し、借入をまとめて長期にしました。
借りるためだけの対策だけでなく、会社を良くしていくためにこそ金融・財務・管理会計の知識は必要です。
日頃からこうした取組みを行うことにより、金融機関と良好な関係が構築され、必要な時に資金の手当、さらには突然の資金需要にも対応できます。結果、私達経営者は事業に専念することができ、会社を成長させる事ができるはずです。
(株)ミカワ 遠山 健一
金融アセス委員会
9月19日

注目を集めるアセス委員会
金融アセス委員会は、愛知同友会で唯一、「カネ」を専門に扱う委員会です。金融に関する制度や施策のほか、金融機関の姿勢や諸問題についても情報交換をし、集めた情報を発信しています。
アセス委員会は、委員を増やす目的もあり、名古屋だけでなく、尾張、三河地域などでも開催されています。
取材を行った日は、東海市商工センターで開催されていました。
委員は50名以上登録されており、伺った日は、土曜日にもかかわらず、22名の参加があり、尾張はもちろん名古屋、三河地域からも参加していました。
金融機関の現状を交流
各委員が、金融機関にヒヤリングに赴いていて、その情報が発表されていました。1年前と比べて貸出件数は増えているか、減っているか。貸出しが減っているという噂があるが、金融機関から見たその原因は何かなどについて、委員が集めてきた情報を発表し、分析する様は真剣そのものでした。
また、金融アセス委員会では、管理会計を推奨しています。管理会計を導入し、関係先に情報を公開することは、信頼関係の強化に繋がり、互いになくてはならない、対等な関係となり得ます。少なくとも管理会計を導入し、経営が数字で語れる経営者であれば、それができない経営者とは比較にならないほど信用が増します。
金融アセス委員会は、良い会社、良い経営者、良い経営環境を目指し、金融に関わる活動をしていることがわかりました。
【取材】安藤不動産 安藤 寿
初級編の管理会計実務講座を開催(10月13日)

資金需要のために
中小企業の現場では、昨年からの厳しい経済情勢が現在も続いており、これから年末に向けて資金繰りが必要となる企業が増えていくことが予想されます。
そこで金融アセス委員会は、これまでに尾張・名古屋・三河の旧3支部で開催された管理会計講座のフォローアップとして、初級編「管理会計講座」を開催し、79名が参加しました。
この講座は、名南コンサルティングネットワークの方を講師に迎え、今まで決算書を見たことがない人でも「管理会計」を理解できるように工夫されています。この日は2回連続講座の第1回。「決算書の見方」から「管理会計の基本」までを学びました。
利益を大きくする方法
「決算書の見方」では、「損益計算書や貸借対照表とはどういうものか」ということから説明。「管理会計の基本」では、「変動損益計算書」という考え方を使って、利益を大きくする戦略会計の方法を学びました。多くの参加者から「難しいと思っていたが、本当に分かりやすくて良かった」との声が上がりました。
「管理会計」は金融機関と円滑に交渉するために必要な手立てです。「管理会計」を学んで資金繰り表を作成すれば、自社の現状から未来の姿が見えてきます。
すでに「管理会計」を導入した人からは「金融機関から喜ばれて、円滑に融資を受けることができました」との声も聞こえてきています。
経営者自身が自社の財務状態や利益計画を語れるようになれば、銀行の信用が高まり、より安定的で強固な経営を可能にします。
金融アセス委員会では、会員の皆さんの資金繰りに役立つ学習会や講演会を企画していきます。