金融アセスだより(第37回)

縦割り行政の問題

中小企業によるリスケの現状は、いまだにスムーズにいかない状態があるようです。なぜ、このような差が生まれるのか。これは金融検査マニュアルなどにより毎年の決算内容によって企業格付けされる中小企業と、遅延や滞納さえなければ正常先と判断される住宅ローンに根本的な違いがあるようです。

 

昨年末、年末倒産を防ぐため、当時の担当大臣は金融庁を通じて企業のリスケ緩和指示を出しました。この際すぐ改善に努めた金融機関はほとんどありませんでした。「本部から何も指示が出ていない」という回答が大半で、実際に各支店でリスケに応じたのは1月過ぎという結果に唖然とした事を覚えています。

 

何が問題なのか。監督官庁である金融庁と金融機関との今日までの確執。そして、多くの企業で活用している信用保証制度(保証協会)の監督官庁は各都道府県であり、それぞれが異なった見解を示している事が考えられます。

中小企業 金融の今後は

この度政府は新しい返済猶予制度を提出しています。その内容は中小企業に対するリスケにも積極的に応じるよう金融機関に求めるようです。しかしこれは、あくまでも努力義務であり、個々の案件については金融機関にその判断が委ねられるのです。

 

金融庁との確執は先述の通りであり、金融機関の本音はリスケに対し抵抗があります。しかしながら、政府からは公約である地域金融円滑化法案(民主党版金融アセスメント法)の活用を全く感じる事ができません。

 

本来、今日のような状況下であるからこそ金融機関には地域に対しリレーションシップバンキングの履行が求められ、地域がその取り組み姿勢を適正に評価する必要があります。

 

地域で集めたお金は、地域で頑張っている企業へ融資されるべきです。今一度、金融アセスメント法の意義や制定を提唱することが急務になろうとしています。

 

安藤不動産 安藤 寿