金融アセス委員会 金融寺子屋(11月24日)
企業と金融機関…「民の協働」
〜地域金融機関との信頼関係

信金は地域密着の銀行
中京大学総合政策学部の由里宗之教授を講師としてお招きし、中小企業金融において地域金融機関とどのように信頼関係を構築するかをお話いただきました。
前半では昔のドキュメンタリー映像(数十年の付き合いの中小企業に対して融資したくてもできない信用金庫マンの葛藤)を見ながら、金融検査マニュアルの矛盾と、一般銀行と信用金庫の本質的な違いを説明されました。
一般の銀行と違い、信用金庫は営利を目的としない組合員制度による協同組織の地域金融機関です。
それは経済的弱者の中小零細企業の金融を円滑化する、まさにリレーションシップバンキングを目指すために作られた金融機関であることを由里教授は強調されます。
中小企業金融の充実したアメリカ
さらに金融先進国といわれるアメリカの現状では、アメリカの金融はすべてが市場原理主義の考えにあると思われがちですが、地域を拠点に地域の資金を循環させるメインストリート金融というものがあります。
そこは地域再投資法(CRA)を中心としたコミュニティ銀行であり、円滑な地域金融を行うために厳しい規制もあるそうです。
また新しい銀行が毎年数十〜数百行も設立されていることもデータを使って指摘されました。アメリカの企業金融が中小企業にとって良い環境であることが分かりました。
教授は、「富士山がきれいに見えるのは裾野の美しさがあるからだ」と語り、裾野の中小企業と裾野的な金融機関である信用金庫・信用組合とが「民の協働」をすることで中小企業金融がよりよいものになることを強調しました。
このお話から金融アセスメント制定運動の重要性がより明確となり、満員の参加者からも納得の例会となりました。
イスクラアセットプランニング(有) 二村 佐斗史