西尾張支部例会(1月28日)
時代の流れに立ち向かえ
後藤 道夫氏 都留文科大学教授

日本型雇用の解体で労働環境が悪化
講師に都留文科大学文学部教授の後藤道夫氏をお迎えし、「雇用をめぐる情勢と中小企業への期待〜福祉国家をめざす中小企業運動」をテーマに会員約100名が参加し話を聞きました。
この10年余のグローバリゼーションや規制撤廃などにより、日本型雇用が解体され、労働環境は悪化しています。「非正規雇用の増加」「ワーキングプア」など、私たちが感じているよりも遥かに厳しい雇用環境が語られました。
資料の中には、貧困世帯、低所得世帯の増加率や非正規・無職・非在学人口の増加率など、驚くべき数字が並んでいます。
非正規雇用が増えたことにより、「労働者がキャリアアップできない」「失業保障が受けられないため職業を探せない」などの問題が起こり、労働者の質が低下し、労働生産性の低下を招き、結果として日本全体の企業の質の低下に繋がっているようです。
まずは中小企業を元気にしよう
この深刻な雇用情勢をどうしていくべきなのか。後藤教授はいいます。医療、教育、介護などの社会サービスを充実させることで、勤労層をまず支えること。そして日本型雇用が担っていた若年層の職業型社会化機能の充実をはかること。それは一企業だけではなく、地域・業界・社会全体で取組んでいくことが大切であると話されました。
また補足説明では、日本の景気回復は大企業に軸足を置いたものになります。それに対して、発展を遂げる世界の国々ではどうか。そこでは、中小企業を元気にする政策が行なわれ、業界や地域を活性化し、経済を下から押し上げて文化的な豊かさを実現しているといいます。
今例会を通じて、雇用を守ること、労働環境の改善に努めることの大切さ、中小企業家の果たすべき使命の重さを痛感しました。
(有)吉川工業 吉川 裕士