障害者雇用・就労支援の集い2010 (2月9日)
社員の心のエネルギーを会社のエネルギーに
望月 優氏 (株)アメディア (東京同友会)

障害者の雇用は会社にメリットを与える

誰もが働く喜びを感じられる企業をめざして、毎年障害者雇用を考える集いを開催しています。
今回は、障害者と共に働く中で、企業風土がどう変わったのかを望月社長から報告いただきました。

社風は変わる

私の人生目標は、障害者をなくすことです。これは医学的になくすという意味ではなく、差別されたという感情をなくすということです。

私は、視力ゼロの全盲で物理的には見えませんが、どんな場面においても差別は感じません。アメディアを、この人生目標を引き継いでもらえる会社にしたいと思っています。

アメディアは1989年に創業しました。8年間、自転車操業の状態が続いた後、開発したソフトが大ヒット。

しかし放漫経営がたたり、いつ倒産してもおかしくないどん底状態となりました。

2002年東京同友会に入会し、経営指針を実践する中で、会社の体質が着実に強化されてきたと感じています。

ぎすぎすしていた雰囲気が明るくなり、コミュニケーションが円滑になり、業務がスピーディーになりました。そして、より良い製品が開発でき結果も数字に表れてきました。その変化に障害者の雇用が関わっています。

共に働き 磨かれる体質づくり

私が考える障害者雇用のメリットをお話しします。

身体障害者の雇用は、適材適所の経営が学べます。その障害の特性や育った環境を理解し、その人がもっとも活躍できる場を作れるようになります。

知的障害者の雇用は、業務分析が鍛えられます。できる仕事を切り出し、仕事のやり方を丁寧に説明することで、これまで1人の判断に頼っていた部分をチームで行う仕組みができます。すると、おのずと業務の見える化と最適化が進み、会社全体の経営効率が上がります。

精神障害者の雇用は、社員の心の状態管理が磨かれます。精神障害者は、自分を肯定し、楽しいエネルギッシュな心の状態を作る点において一番ハードルが高いです。

その人が良い状態でいられるように配慮し、やる気になって働ける職場が作れれば、その会社は鬼に金棒です。

心のエネルギーを高める

私は、社員の心の状態が「自己肯定度70%」になるよう、常にことばを交わし、指示を出す中で勇気付けています。

よく思うのですが、今、うつの人が増えているのは、国民全体がいじめ体質になっているからではないでしょうか。

人を責めたり批判するのではなく、物事の善し悪しを評価し、悪いことを直せばよいのです。会社でミスが起こった時に、誰が悪いかではなく何が悪いかと考える。そうしなければ、組織や社会は進歩しません。

社会全体がいじめ体質になっていく中で、我社は絶対にそうはなりません。「一緒に喜ぶ」「普通のことに感謝する」それを心がけ、仕事の意義や楽しさを掘り下げ、社員の心のエネルギーを高めていきたいと思います。

 

【文責・事務局 岩附】