金融アセスだより(第43回)
先般2010年度の地価公示価格が発表され、ほぼ全国で2年連続の下落となりました。特に名古屋市内の商業地の下落が全国でも上位となっており、トヨタショックの影響が地価に反映された結果となりました。
業界に貸し渋りが強まる
弊社は不動産業を営んでいますが、最近国内のみならず海外の金融情報についても情報収集をするようにしています。これはリーマンショック直後から金融機関が私達の業界への貸し渋りを強めたという体験がきっかけとなりました。
マクロの視点を身につける
企業の格付けとは無関係に業界に対してニューマネーを止めた金融機関のあからさまな態度には歯痒い思いをしました。しかしこの体験によって、海外で起こっていることは決して対岸の火事ではなく、私達の金融・不動産市場へ必ず影響を及ぼすということを学びました。
言い換えれば、サブプライムローン問題が浮上した段階でこのようなことが予測できれば、後に起こるリスクをかなり回避することができたはずです。マクロの視点を身につけることこそが経営におけるリスク管理の最善の方法であると思います。
リアルタイムな情報
金融委員会に参加するようになってまだほんの数カ月ですが、リアルタイムな法規の変化や情報交換が行われるので、金融機関担当者に対してもタイムリーにコミュニケーションがとれるようになりました。
また管理会計を知るまでは決算書等を報告することはありましたが、数値的な事業計画書は作ったことがありませんでした。
しかし委員会で経営計画を報告し、有言実行を継続することにより初めて信頼関係が築ける事に気づきました。
そして、自分自身はもちろんのこと、社員一人一人が常に売上を意識するようになったのです。
ビジネスチャンスを感じられる経営
企業経営において金融知識やマクロ経済の情報は何よりも重要です。他国の国債の格付けの引き下げによる影響や、中小企業円滑化法、改正貸金業法等。
これらのことがどのように国内市場そして自社の外部環境に影響を及ぼしていくのかを理解するためには、正しい情報収集とそのためのネットワークが必要です。
今後も常に適度な危機感を持ちながらもビジネスチャンスを感じられる経営をしていきたいと思います。
(株)アールプランナー・ソリューションズ 梢 政樹