【広報部会(7月23日)】
「どうなる中小企業憲章」〜政府の閣議決定後の課題

和田 勝氏(副代表理事・経営環境改善部門)

 

これからがスタート

7月の広報部会は、「中小企業憲章」について、経営環境改善部門担当の副代表理事、和田氏からわかりやすい報告を頂きました。

中小企業憲章は、どうしても難しく感じられ、私も言葉は知っていますが敬遠しがちなところがあります。しかし和田氏の報告を聞いたところ、親しみが持てるようになりました。

現在、政府が6月18日に閣議決定した「中小企業憲章」と、同友会の独自案として理念的位置づけにあるものの2種類があります。

政府の憲章は、政府が主体となり導いていく印象が強いのですが、同友会案は、国民が主体となりあらゆる組織を巻き込むものとなっています。私個人としては、同友会案の方が身近に感じました。

憲章が経営理念になる

同友会案の各項目の「中小企業は」を自社の名前に置き換えると理解しやすいとの説明があり、置き換えて読むと経営理念になり驚きました。まさに、同友会が目指していることが、中小企業憲章のもとなのです。

同友会で求める中小企業憲章の大きな目的は、「日本で暮らし生きる市民ひとり一人を大切にし、豊かにすること」です。今回の政府の動きは、ひとつのステップに登る門が開かれたといえます。

この閣議決定された中小企業憲章を飛躍させるのも私達中小企業です。「憲章ができてよかった」と安心するのではなく、さらに上を目指し中小企業の地位向上と、国民が本当に豊かに暮らせるよう働きかけなければなりません。

当面は、中小企業憲章の精神を施策に盛り込むことを行政などに呼びかけたり、各地域で中小企業活性化条例に結びつける活動が考えられます。できた憲章を言葉だけで終わらせるのではなく、実行を国に迫っていく行動が求められると感じました。

 

(有)ビレイパレス 小澤 一夫

 

【憲章ホットニュースV】
「紙芝居」で憲章を知ろう〜同友会のめざす社会づくり

愛知で行われた中日本代表者会議で憲章紙芝居を上演

キーワードは「約束」

「変わりゆく流れの中で、よほど注意深くしていなければ、人は自身の立ち位置を見失いがちです。自分自身の立ち位置を知らないことには、計画も対策も立てることはできません」。愛知同友会の憲章紙芝居も、このような認識から物語が始まります。

愛知同友会では理事会や地区例会でこの「紙芝居」を使った学習会がスタートしており、参加者からは「同友会の目指す社会づくりが生き生きと伝わってきた」などの感想が寄せられています。

この憲章紙芝居では現代の劇的変化をグローバリゼーションを例にとって見せています。グローバリゼーションの波は私たち中小企業家にとって目の前の問題です。このような前提に立った上で「憲章」とは何かを考えるならば、それは私たち中小企業家を取り巻く課題を克服し、国民一人ひとりが豊かに、幸せになれる社会づくりのための指針書と位置付けることができます。

中小企業政策の抜本的転換を

ではなぜ憲章なのか。憲章紙芝居では、それを「約束」というキーワードで説明します。中小企業家が自らの立ち位置を知り、自信と誇りを持って進むことを約束し合い国民に宣言する。その約束を果たすことに追い風となる経営環境づくり、すなわち「国民の中小企業に対する認識」と「中小企業政策」の抜本的転換と位置づけられます。

今、日本の自殺者数は西欧型先進国の中でトップです。このような歪んだ社会をどう健全にしていくのか、「憲章」の具現化をめざす私たち中小企業家の社会づくり運動は、まだまだ道半ばの一里塚に過ぎません。憲章紙芝居は現在の立ち位置を示し、その物語をまとめています。