第38回青年経営者全国交流会 第3分科会(9月9日〜10日 山形)
社員一人ひとりが経営者 〜出る杭を伸ばし、磨きあげる為に

(株)日永洋服店 日永雄大氏

 

愛知から98名が参加(左から5人目が日永氏)

第38回青年経営者全国交流会が山形県で開催され、愛知同友会より98名が参加しました。

ここでは第3分科会で愛知同友会の日永雄大氏が報告しましたので、その時の報告内容をご紹介します。

「人材」を「人財」に

(株)日永洋服店は設立から56年目になります。祖父の代から続く洋服店で、大須の商店街を中心に7店舗を構え、社員は50名、平均年齢は28歳の会社です。

私は高校卒業後、浪人からフリーター、ニートとなり、ある時1冊の本に衝撃を受けました。本の表紙には「人材を人財に変える」とあり、私は人が「財」に変われるのなら自分も「財」になりたいと思いました。その後、教師を目指して23歳で大学へ入り、教育は生徒一人ひとりに合わせることが必要だと痛感しました。

会社に戻ってきた当時は多額の負債を抱え、店舗ではレジのお金が合わず、伝票もありませんでした。店員は仕事もしないで鏡ばかり見ているなどひどい状態でした。社内で話し合おうとするのですが、信頼関係はつくれませんでした。

本店のリニューアルオープンの時です。私の仕入れた商品が売れず、段ボールが山積みされていき、父から「もうこれ以上借り入れできない」と言われました。非難される覚悟で店長に事情を話すと「今ある商品でがんばりましょう」と意外な答えが返ってきました。ありがたかったです。この時、改めて企業は「人」なのだと身にしみました。

それ以後、生かし生かされる関係とはどうあるべきかをひたすら考えました。そして、社員とお互いに幸せになるために、夢をかなえるお店を作ろうと話し合いました。

大切な「FAN(ファン)⇔FUN(楽しい)」の関係

2004年、改革理念「一人ひとりが経営者」を掲げました。店長7人には起業した社長の覚悟を持てるよう、自分の店の社名と経営理念をつくってもらい、そのベクトル合わせをしました。

ショッピングサイトは、女性社員2人が自分たちの仕事をつくり出すために始めました。全くの素人でしたが、今では売上が億の単位に届きそうになってきました。

売上イコール自分自身です。上司・同僚・お客様にファンになってもらわねばなりません。また、自立型組織づくりの基本は、どれだけ相手の立場に立てるかです。ここで「FAN⇔FUN」の関係が大切になってきます。

お金以外で会社にいる意味

「売上」と「お互いの感謝」は不離一体です。たとえ売上がゼロでも、一生懸命やった結果ならお互いに感謝です。売上を上げたから給料を上げてほしいと言う人には、あなたを支えた人がいるはずだと話します。

感謝の気持ちを伝えるサンクスカードを半年ぶりに手にした人がいました。カードには「人間として成長しましたね」と書かれていました。こうしてお互いを見る環境を大切にしています。

かつてのひどい職場は、自主的に会議や講習会を運営するまでに変わりました。本質的な学びと気づきが人を成長させます。厳しい環境ですが、これからも勝ち負けではなく、高めあう人間集団として成長していきます。