政策要望委員会(12月8日)
一歩先を行く提言を

講師に名城大学の渡辺教授(中央)を招きイギリスにおける中小企業政策の展開の話を聞く

学習会を毎月開催

政策要望委員会では2000年から毎年、愛知県に対して中小企業家の政策提言を提出し、懇談を重ねています。今年度は、具体的な提言を行政に伝えることを第1の目標に活動を進めてきました。

今年度の提言以降、委員会では3カ月を通して名城大学教授の渡辺俊三氏を中心に学習会を開催し、次年度の政策提言に向けた準備を進めています。

第1回学習会では各国の中小企業政策の比較検討、第2回では経済学史における中小企業観の変遷、第3回ではイギリスにおける中小企業政策の展開に主眼を置いて開催されました。

特に第3回学習会では、2004年に策定された中小企業政策の現状、公約の実現状況、将来の政策、政策評価の指標が述べられた「アクションプラン」を中心に進められました。

国家戦略としてのビジョン

イギリスの中小企業政策の特長は、国家ビジョンの明確化が重視されてきた点にあります。特に2002〜2003年にかけては、中小企業に関するビジョンが多数策定され、その国家戦略のなかに中小企業の存在が大きく根を張ってきました。

一方日本では、バブル崩壊後の低成長期のあおりを受け、国家の経済への介入を極力抑える傾向にあるのが実情です。とはいえ、昨年中小企業憲章が閣議決定されたことは、国家戦略としてのビジョンづくりの大きな転換と見ることもできます。

現場からの声を発信

政策評価の問題では、イギリスが(1)政府、(2)議会、(3)アカデミズム(大学等)の3類型で取り組まれているのに対し、日本では一般的なアンケートに基づく主観的評価に留まっているのが現実です。

本当に実効的な政策を実現するためには、私たち中小企業家自らが声をあげ、現場からの声を積極的に発信していくことが求められます。いいかえれば、中小企業地域活性化条例(仮称)を制定し「中小企業振興会議」などを設置することによる、中小企業の声を反映する場づくりが、ますます重要になります。

日本が戦後、取り組みを始めた中小企業政策は先駆的なもので、世界のモデルとして大きな役割を果たしました。しかし近年、欧米を中心とした各国では、それを上回る中小企業政策が展開されています。政策要望委員会では各国の先進情報を活用し、常に一歩先を行く提言を目指して活動していきます。

配布用のパンフレット