第50回定時総会(4月20日)
「社会の主役」として地域を元気にしよう

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「同友会らしい」黒字企業をめざそう

(写真)第50回定時総会

【写真】

会長を退任した山本栄男氏に感謝状が贈られる(右上)

前期増強率No.1の知多青同より地区の試みが紹介される(右下)

全体会でのパネル討論では活動方針が深められる(左上)

来賓の大村知事が「中小企業地域活性化条例」制定を語る(左下)

大村知事が来賓あいさつ

愛知同友会の第50回定時総会が4月20日開催され、390名が参加しました。当日は活動方針を深める4つの分科会、総会議事、全体会、交流会の4部構成で開催しました。

第1部の分科会では、「企業変革支援プログラムの組織的活用」「同友会らしい経営指針とその実践」「中小企業憲章草案を経営の羅針盤に」「同友会のすべてを生かし切ろう」の各課題について、これまでの到達点と新年度の重点を深め合いました。

第2部の総会議事では山本栄男会長が「今こそ愛知県経済を元気にしていくのは私たち中小企業家であるという強い決意を持って、厳しい環境を乗り越えていきましょう」と挨拶。

来賓の大村秀章愛知県知事からは「震災復興に向けて県として全力で取り組みます。中小企業活性化条例についても、制定に向けて取り組んでいきたい。同友会の皆さんには愛知県の中小企業のリーダーとしてご活躍いただきたい」と期待が寄せられました。

その後、「経過報告」「決算報告」「会計監査報告」の承認と新年度役員の選出が行われ、会長に杉浦三代枝氏、代表理事に加藤明彦氏等、44名の理事が選出されました。

新年度の活動方針を確認

第3部の全体会では、パネル討論形式で活動方針を深めました。新年度の重点方針は、「同友会らしい」黒字企業をめざすことです。「今こそ社会の主役として地域を元気にしよう」をスローガンに、「労使見解」に基づいた経営実践が求められています。

そのためには、経営理念の確立と浸透が重要です。また中小企業憲章草案を自社と重ね合わせ、経営指針づくりを行い地域を元気にしていくことを確認しました。

第4部の交流会では、他県報告者の挨拶で震災復興に向けて力を合わせることを再確認しました。広報・増強関係の表彰等も行われ、最後に高瀬喜照総会実行委員長より謝辞が述べられ、盛大な拍手をもって閉会しました。

■第50回定時総会(分科会・全体会)

【全体パネル討論】 情勢変化を踏まえる

加藤 明彦氏 エイベックス(株)

大島 良和氏 協栄産業(株)

山田 健夫氏 (株)名栄社

馬場 慎一郎氏 データライン(株)

出分 洋之氏 (株)昭和写真工業所

東日本大震災から1カ月が過ぎ、危機感や不透明感が社会全体に広がる中で迎えた第50回総会。地域経済における中小企業の役割をいかに深め、今後の展望をどのように掴むか。5名のパネリストが自社の現状と今後の課題について報告しました。

パネリストの皆さん

環境激変の中で

自動車部品製造業の大島氏はリーマンショック以後、グローバル化による世界的競争で、海外に出るか国内に残るかの選択に迫られました。

スクリーン印刷等で部品を製造する山田氏は、リーマンショックにより工業部品系を中心に仕事量が約30%減少。パチンコなど遊技機の仕事も震災による自粛で、売上は一気に半減しました。

コンピュータ用帳票やダイレクトメールを手掛ける馬場氏は、人口減少やペーパーレスの流れを背景に印刷業全体の停滞が続く中、主力商品の大幅な退潮に応じ、事業の転換を図り続けています。

自動車部品製造業の加藤氏は、リーマンショック以来、非連続の時代に突入し、今までの経営戦略の延長線上では維持発展が難しいと判断。新たな戦略で走り出したところに震災が発生し、すぐに社員と戦略の練り直しを行いました。

活路を拓く原動力とは

こうした現状を踏まえ、2011年度方針の「同友会らしい黒字企業」をどう前進させていけばいいのでしょうか。実践の要点は4点あります。

1つ目は「経営姿勢の確立」です。大島氏は、新卒の高校生を採用したことで、社員の一生に責任を持つのは経営者だと自覚しました。どんな困難な状況でも社長自らが対応する姿勢が不可欠と言い切ります。

2つ目は「経営指針の成文化」です。不透明な時代だからこそ何をすべきかを明確に示すこと。指針を成文化して初めて社員を巻き込んだ会社づくりがスタートする。このように山田氏は実感を込めてその必要性を訴えました。

3つ目は「社員との共育ち」です。馬場氏と出分氏は、信頼関係をつくるための日々の実践を報告しました。中でも馬場氏は、待った無しの事業転換を進めるため社員を置き去りにした苦い経験から、今では、共に育つこと自体が会社の目的でよいと思えるようになった自分自身の変化を振り返りました。

4つ目は「憲章草案に自社を重ねる」です。加藤氏は、憲章草案に合わせて自社の戦略をつくっています。例えば「どんな小さな必要も市場として創造する」という条文は「営業戦略」として位置付け、(1)既存商品の新たな業界開拓、(2)既存技術の新たな商品展開という2つの戦略を打ち立てました。

今後の経済の復興は長期化が予測されます。人間らしく生きる、暮らしを守るために、今年度方針を自社で進めていく。その決意を新たにした全体会となりました。

【第1分科会】 支援プロで未来を設定

青木 義彦氏 (株)サンテック

服部 勝之氏 (有)服部庭園

長尾 秀義氏 (株)ワールド・クリーン

企業変革支援プログラムができて3年になります。しかしその浸透度合いを測る「登録数」には注目しても、内容の良さや活用法はあまり知られていません。そこで実際にプログラムに取り組んできた西尾張支部の事例を紹介しながら、その組織的活用法について考えました。

左から報告者の青木、服部、長尾各氏

支部の視点から見えてきたもの

企業変革支援プログラムに取り組むことにより自社の現在位置を把握でき、何が足りないのかという「気付き」を得られます。それをどのように学び、自社に落とし込むかを追求していくと指針の必要性が見えた、と西尾張副支部長の服部氏は言います。それがきっかけとなり、昨期、西尾張支部では「指針づくり」に力を入れることができたという成果もありました。

また、このプログラムによる診断では、自分に自信がある時は大きな円を描けるが、逆に自信がない時は小さい円となってしまい、気持ち次第で描ける円の大きさが変化することも分かったと報告されました。

プログラムの目的

地区会長である長尾氏は、地区では年間12回しかない例会の1回を企業変革支援プログラムに充てることへの抵抗があると言います。地区の現場ではプログラム自体の認知度が低いため、まずは気心知れた同友会の仲間とやってみる必要性を伝えました。

最終的には地区での傾向を出し、特に弱い部分を例会のテーマに取り入れながらみんなで解決の糸口を見つけていきたい、と述べました。

西尾張支部長の青木氏は、企業変革支援プログラムでは大きな真円を目指すことが重要なのか、そもそも大きな円が正解なのかを再度考える必要があると語ります。そして「自己変革をする上で、この企業変革支援プログラムの活用を一人ひとりから発信してほしい」との言葉で締めくくりました。

【第2分科会】 経営指針と全社的実践

松田 浩氏 (株)東北消防設備(山形同友会代表理事)

経営指針運動を広く推進するにあたり、同友会の提唱する経営指針や目指す企業像などの基本や要点を確認し、深く学び合う事を目的として企画されました。それは、労使見解と指針の科学性・社会性・人間性を追求する大切さが再確認されるものでした。

理念型経営の重要性を訴える松田氏

企業理念の実践

松田氏は冒頭、「先行きが不透明な時代だからこそ、今後ますます理念型経営が広がってきます」と指摘し、同友会の提唱する科学性、社会性、人間性に裏打ちされた経営理念の必要性を訴えました。

松田氏の経営理念の根底には、株価や為替など目まぐるしく変動する情勢や不確かな情報に振り回されず、世の中や時代の趨勢を見極めることが大切だという考え方があります。そして、時代や社会への深い洞察から人間性と社会性を重要視しています。

人間性の観点からは、若い世代の人たちが自信を持って働ける場所を社内で作る事を心がけています。

また社会性の観点からは、人と人とのつながりが希薄で心配事が絶えない時代だからこそ社会との関わりを重要課題として位置付け、ボランティア活動や町内会活動といった毎日の生活の中で、人と関わる事の素晴らしさや社会とのつながりを社員に肌で実感してもらう事を考えています。

共感の輪を広げる

防災設備を取り付けたからと言って災害がなくなる事はありません。また、火災現場に助けに行く事はできないため、万が一災害が起きた場合の対処についてはお客様任せになります。

そんな中で松田氏の会社では火災報知機を取り付けるだけでなく、取り付けに際し家族会議を開いてもらうなど、家庭の防災意識を促進し、減災する考え方で顧客と関わるようにしています。

このように、単に売上を追うのではなく理念に共感する人の輪を広げ、自社が社会に存在する意義や社会へのメッセージを発信する事、そして企業経営を通して実践していくことが今後の社会で必要とされ、生き残っていくポイントだとまとめました。

【第3分科会】 憲章を経営の羅針盤に

杉村 征郎氏 杉村精工(株)

加藤 洪太郎氏 名古屋第一法律事務所

和田 勝氏 (有)シー・アンド・シー保険サービス

同友会の経営環境改善運動の最も特長的な点は、問題をまず自社に引き当て自分自身を内省することにあります。
今回は全国の中小企業家の英知を結集して作られた憲章草案を中軸に自社を見つめ直すことで、企業実践を通して経営環境改善運動を推進するきっかけとすることを目的としました。

左から報告者の加藤、杉村、和田各氏

中小企業から中小"輝"業へ

杉村氏は高度成長期の曲がり角の頃、父親の経営する町工場に腰かけのつもりで入社します。オイルショックで労働組合ができたことをきっかけに、経営者としての自覚と責任を持つようになります。 杉村氏の問題意識の高さ深さには、幼少期の貧しさと必死で働く父の背中を見てきたこと、焼津沖で第5福竜丸のビキニ水爆被災を目の当たりにし、原水爆反対と平和を求める中学生の署名運動などがありました。

まさに中小企業憲章制定運動は、社会に対する夢や希望、矛盾や疑問の葛藤のなかで生み出された、時代と要請、それに応える同友会運動の精髄だったといえます。

経営の羅針盤として

「紙に書かれた憲章草案は、一見お題目のように見えるかもしれません。ですが、これは企業家の実体験であり、声の集大成なのです」。実際に憲章草案の起草に携わった加藤氏はこう話します。

憲章草案に基づき経営指針の見直しを行った和田氏からは、憲章草案の前文と10の指針に当てはめ、自社の進むべき道や、社会に求められる企業へ進化するための課題はどこにあるのかを検討した体験が報告されました。

今の外部環境は「ダウンサイジング」の時代です。これまでの価値観では乗り切れない時代にあって、私たち中小企業が経営を維持し発展させるためには、望まれる中小企業を描いた憲章草案を経営の羅針盤とすることが一番の近道なのです。

【第4分科会】 自社と自分の成長

藤掛 誠一郎氏 (株)トレネッツ

今期の方針は、あらゆる機会を「同友会らしい」黒字企業づくりの実践の場とすることにあります。そのため、同友会のすべての活動を生かし切ることが肝要です。同友会に入会している目的は何なのか。役員を引き受けるとどのような学びがあるか。そのような、原点を見つめ直し、経営にトコトン生かしている実践事例に学びます。

同友会での学びの実践を話す藤掛氏

会員の「関わりあい」が大切

藤掛氏は同友会のすべての活動を自社の経営に生かしていく、また生かせる場にしていくことが大切と語ります。

自身が地区のグループ長の時にメンバー1人、1人がどんな夢を持ち、どんな経営課題があるのかをトコトン聞きこみました。するとメンバーのことがますます気になり「あの課題どうなったかな」と日頃から声かけをするようになったといいます。このような交流をした当時のメンバーとは今でも深い付き合いが続いています。

例会参加率が話題になりますが、それ以上に会員がお互いの経営や人生のことで励ましあえる「関わり率」にこだわった地区活動が大切だと実感します。

「何のために経営しているのか」改めて問いあう

同友会を生かし切ろう

同友会の会員は厳しいことも指摘してくれました。具体的には、会員と同じように社員のことも掴んでいるのかと問われ、社員の夢や悩みを知らない自分に気づきます。そこで会員企業の取り組みを真似て毎月、社員に手紙を書くことをはじめ現在も続いています。社員の良いところに注目するようになり、夢や目標でコミュニケーションが取れるようになりました。

ある例会のグループ討論では中小企業だから待遇面が不十分なのはしょうがないと話したところ、「待遇を良くすることにチャレンジしない経営者はだめだ、ありがとうだけでは社員は人生設計できない」と指摘され、悔しい思いをしましたが、その通りだと改善に取り組みました。

経営指針づくりでは「あなたの会社は何屋なのか」と問われ必死に考える中、現在の理念が確立。金融機関に事業の将来性や理念をしっかり語る事ができ、新規融資を得ることができました。

同友会でも会社でも、お互いの関わりを深めて思いを伝えていくこと。同友会は会社を良くするために、相手のためになる「大きなお世話」の会であり、そんな風土を同友会の様々な場面でも会社でも広げていきたいと語りました。

■写真で見る第50回定時総会

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