中小企業憲章制定1周年の集い(6月18日)
時代から要請される 新しい次元の同友会運動

大林 弘道氏 神奈川大学教授

 

これからがスタート

昨年6月18日の「中小企業憲章」閣議決定からちょうど1周年を記念した集いが、同日開催されました。当日は愛知同友会会員や中同協役員、愛知県中小企業団体中央会から33名が参加するなか、同友会の中小企業憲章制定運動(以下、憲章制定運動)に深くご尽力頂いた神奈川大学の大林弘道教授をお招きし、「中小企業憲章制定運動の軌跡と今後の展望」と題した報告を頂きました。

同友会の憲章制定運動は、2002年に愛知同友会が40周年記念のEU視察を通して“THINK SMALL FIRST(小企業を第一に考えよ)”の精神に出会ったことにその発端があります。以後、全国的に憲章制定に向けた学習運動が展開され、愛知同友会では延べ3200名を超える会員が憲章の学習会に参加し、学びを深めてきました。

提案責任が問われる

2009年の政権交代後、憲章は制定に向けて大きく舵が切られ、翌年の閣議決定へと結びつきましたが、これからが正念場といえます。憲章と同日に閣議決定された「新成長戦略」では、中小企業憲章の内容が踏襲されているとは言い難く、これまで通りの大企業重視の路線が基調とされています。

このような状況のなか、同友会では(1)中小企業憲章の国会決議、(2)中小企業支援会議の設置、(3)中小企業担当大臣の設置を訴えるとともに、憲章草案に基づいた「中小企業の見地から展望する日本経済ビジョン」を策定中です。

2008年からの世界金融危機、本年3月の東日本大震災という2つの歴史的危機のもと、これまでの運動の成果を生かすことで、さらなる次元の同友会運動が時代から要請されているといえます。

最後に大林教授は「中小企業自らが地域社会、日本社会の守り手であるという自覚と気概をもって、この激動の時代を乗り切っていきましょう」と、参加者にエールを送り講演を締めくくりました。

 

※閣議決定された憲章は以下
>> 中小企業憲章 全文(PDFファイル:21KB)