共育委員会―第5講座(9月30日)
生き生きとした職場づくり
豊田 弘氏 知立機工(株)

教育は人間性から
勤め人だった頃、私は解雇されました。「経営者はなんて酷いんだ。もう雇われるのはまっぴら」。これが私の起業のきっかけでした。これまで幾度も危機はありましたが、「社員やその家族を路頭に迷わせてはいけない」という想いで無我夢中で駆け抜けてきたように思います。
創業当初、サラ金や自己破産などの問題を抱えた社員たちを目の前に、どうしていけばいいのか本当に悩みました。そして、彼らにどんな人になって欲しいかを考える中で、「自ら気づき考えられる人になって欲しい」という考えに至りました。人間は枠にはめられて生きていくような薄っぺらいものではありません。常に疑問を感じ、本質は何かを考える努力をし続けて欲しいと思っています。
社員と共に育つ
「共に育つ」とは、まず経営者自らが変わることです。自主的に頑張ることのできる場を提供し、社員が育ち、その社員に教えられて経営者も育つ。これが、「共に育つ」ことだと思います。無理やりやらされている働きは奴隷と同じです。社員の自主性を大切にすることは、人間尊重の実現にも通じます。
経営は、会社経営と人間経営のバランスです。社員に想いを馳せ、人間を考えるなかで、よい会社はつくられます。同友会では憲章運動を進めていますが、これは社員やその家族と一緒に幸せになることを追求する「共に育つ」ことの集大成です。共に育つことは難しいことですが、諦めずこれからも皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。