南尾張支部例会(1月20日)
環境の変化に挑む 中小企業の可能性
森 靖雄氏 愛知東邦大学顧問

「アメリカ型経営」からの転換
愛知東邦大学顧問の森靖雄氏をお招きし、77名の参加で南尾張支部例会が開催されました。知多半島に関わる中小企業の歴史をはじめ、イタリア中小企業経営の調査を行うなかで森氏が得た教訓と共に、激甚自然災害や急激な円高などの環境変化を見通した企業経営の大切さが語られました。
日本は戦後の1940年代から現代に到るまで、自由市場による激しい企業間競争、大量生産・大量消費といった特徴の「アメリカ型経営」が国策として優先されてきました。それにより日本は世界でトップクラスの経済大国にまで成長しました。しかし、今や日本経済が"成熟状態"となってしまったため、同じやり方では経済成長が望めないといいます。
小さい強みを生かす
そこで今、経営者が再認識すべきことは日本におけるアメリカ型経営の限界とヨーロッパ型経営の可能性についてです。
様々な価値観が存在するなかで、小量・高品質であることによって価値を持つ一面があります。利益は少ないけれども、その地域の文化に密着し、そこでしか生産できないものを作る。これができれば中小企業は、大企業と違った市場で異なる役割を担い、持続的な企業づくりと地域づくりを行うことができると森氏は言います。
経営スタイルの比較においては、アメリカは潰し合いの競争型経営が中心となる一方で、ヨーロッパは同業者や関連業者が協力関係で「共存・共栄」を行うことに重きを置くといった違いがあります。
また、顧客満足の比較においては、アメリカは豊富な品揃えと廉価販売店舗を中心に展開した大型店舗化を進める一方で、イタリアでは愛着・個性・良質に重きを置いた「デザイン・品質」が消費者に重視されています。そこに日本の「精度・正確・きれい」といった強みがヨーロッパ型の中に生き、活路が開かれるのです。
経営環境の改善が課題になる
本例会を通じ、これからの経営者は同友会の「3つの目的」にもある経営環境の改善や、強靭な経営体質にすることを実現することが重要であるとわかりました。そして、自社を取りまく経営環境の分析と創造的な改善を行うことが課題として明らかになりました。
グループ討論では、「中小企業同士が協力しながら地域を大事にし、新しい段階のグローバル時代経営をしていきたい」と、明るく前向きな意見が多く交わされました。
(株)榊原グリーンガーデン 浅井 佐知子