共育委員会(2月14日)
「生きること」「学ぶこと」学習会 〜映画「かすかな光へ」に学ぶ

映画のチラシ(左)、生命の特徴を描いた絵本を掲げる大田堯氏

教育とは何か

名古屋大学大学院の植田健男教授を招き、64名の参加で「生きること」と「学ぶこと」学習会(共育委員会主催)を開催しました。植田教授は映画の上映に先立ち、次のような問題提起をしました。

まず教育とは、生物として「ヒト」に生まれた私たちが「人間」へと育っていく営みであり、人は自ら育っていくものであること。それを援助することが、本来の教育の姿であり、私たちは「教育」を通して「人間らしく生きられるようになる」ために、日々学んでいるということ。

そして今、「学ぶ」こと、「生きる」こと、「働く」ことの3つが、特に学校において統一されていないことから大きな問題が生じてきている。自らを含めて、他者を「人間」として尊重し、自分の生き方や性、身体、仕事を大切にする生き方ができているか。本当に、主人公になっているか。「生きること」と「学ぶこと」、そして「働くこと」について、もう一度問い直す必要があると指摘しました。

生きる力を育む学び

次に、同友会運動にも深く関わっていただいている教育研究者の大田堯氏(東京大学名誉教授、93歳)の記録映画「かすかな光へ」(森康行監督)を上映しました。

この映画は、生命の基本的な特徴である「ちがうこと」、「自ら変わること」、「かかわること」を手がかりとして、「生きる力を育む学びとはどのようなものか」を探求し続ける大田氏の姿を描き、生命の絆の立て直しが必要だと提案しています。

大田氏は、教育の根源にあるのは、生物は自ら変わるという事実であり、教育は教え諭すことではなく、生命と生命が響きあう創造活動だと強調しています。かかわりあいの中で、お互いを尊重し、認め合いながら、あらゆる人が自分の持ち味を発揮できる理想の社会に向かって、私たち一人ひとりの生き方が問われているのです。

映画の上映後のグループ討論では、現実と理想の隔たりを感じながらも、教育の本質に気づき、人と人とが育ち合う経営をしていく大切さを確認し合いました。そして「生きること」「学ぶこと」「働くこと」がお互いに結びつき、関連していることが深められました。