金融講演会−金融委員会(3月15日)
中小企業が今なすべきこと
山口 義行氏 立教大学教授

世界と日本の経済動向
まずマクロ経済の動向として、「バブルレス・エコノミー(高騰のない経済)」と「ソブリン・リスク(国に対する信用危険)」について山口教授は言及しました。これまでファンドは、資本を集中させバブルを起こし利益を得ていたのが、国債の空売りなど値下げ幅で稼ぐ手法に移行しています。
それゆえギリシャの国債を借りて、国家破綻すると情報を流し、国債の価値を下げて売り抜いているのです。各国の政府はファンドに狙われない様に、財政の健全化(緊縮財政・増税)路線に突き進まざるをえません。
このような中、すべきことは「市場開拓」と「市場創造」。市場開拓のために自社の売りを発見し戦略化している、納期によって値段を変える製造業。そして、他社との連携と消費者の絞り込みによって、大手が参入できないニッチ市場を創造した事例が紹介されました。
その他、TPP問題の最大の焦点は農業だけでなく、医療をはじめとする規制などあらゆる国内法がアメリカの求める自由になることであり、誰の利益のためかを見極める必要があるといいます。
また経団連を構成する輸出企業は、消費税が増税されても還付金として戻ってくるのでメリットはありますが、中小企業は価格転嫁ができず消費税増税はマイナスのインパクトしかないことを説明しました。このようなマスコミでは流されない情報を同友会で集め分析して、社会に発信することが求められると問題提起されました。
(株)山繊 山本 亮