金融アセスだより(第67回)

中小企業金融円滑化法の終了を今年度末に控え、金融機関との関係強化は今後ますます重要性を増してきます。アセスだよりでは今月号から3回にわたって、金融の基礎について連載していきます。

資金を循環させる

金融は、貸し手と借り手との信用取引です。一般的には金融機関と企業、もしくは個人との間で行うものであり、人の身体にたとえれば血液にあたると言えるでしょう。この血液が止まることなく循環していることが大変重要であり、すなわち企業が正常であることを意味します。

時には、外部環境の変化や内的要因により応急処置や手術が必要になる場合もありますが、この血液が循環していることが、会社経営において最も大切です。つまり、たとえ赤字であろうとも、キャッシュフローがしっかり回ってさえいれば、倒産することなくやっていけるのです。

対等の立場で取引

資本力がない中小零細の企業は、どうしても借入の依存率が高くなります。必要なお金を金融機関(支援者)から一時的に借りることによって、商売を回しているわけです。

私たち中小企業がお金を借りる時には、自分や会社の夢・理念と経営指針、そして中期計画をセットにして、金融機関に対し融資をしてくれるように自社をプレゼンしなければいけません。そして、融資を受けたら「後は知らん顔」ではなく、ひと月ないし半年に一度、最低でも決算を終えた後には金融機関を訪問し、計画の進捗状況や結果を支店長や担当者に説明する必要があります。

友達にお金を借りたら、「あのお金でこうなっているよ」と経過を話し、最後に「おかげで助かったよ。ありがとう」と言うと思います。貸し手にお金の使い道やその後の経過を説明し、会社の現状報告と将来展望を伝えること。信用取引とはそういうものです。

中小企業も金融機関側と対話する姿勢を持ち、より良い関係を築くことが必要です。対等の立場で話ができるようになるためには、経営者自身が積極的に金融の仕組みについて学ぶことが大切なのです。

 

(株)ハンズコーポレーション  青野 徹